Vol.258 05年8月20日 週刊あんばい一本勝負 No.254


お盆中のヘンな買い物

 お盆期間中は、いつものようにずっと事務所で仕事のような、遊びのようなダラダラモードで、ほとんど外に出ないで過ごしてしまいました。
 ある原稿を仕上げてしまうつもりでしたが、クーラーのせいか過労気味なのか、いまいち身体がピリッとせず、健康面が万全でないと仕事に集中できない「もろさ」が見事に出て、なにも書けずに無為な1週間を過ごしてしまいました。13日だけは湯沢に帰り(父の初盆なので)、母や弟たちとお墓参りをしてきました。何となくどこに行くのも億劫で、引きこもって本を読む気力もおきず、クーラーのそばでウダウダ、ぼんやりと時をやり過ごし、若者の「引きこもり」の気持ちがなんとなくわかりました。
 引きこもり中、ネットで変な買い物を2つしてしまいました。ひとつは歩数計付きの時計。ポケットに入れるタイプの歩数計をよくなくすので、腕に巻きつけるのがいいかな、と思って発作的に買ったのですが巻いてみるとなんとも異様で、仕事中気になってはずしたくなるシロモノ。もうひとつは「りんご黒酢」。いままでは黒酢と梅肉エキスを別々に買い、それにハチミツを混ぜて毎朝飲んでいたのですが、この作業がけっこうめんどくさい。そこで最初からカクテルされている「りんご黒酢」に目をつけたわけだが、ちょっと甘すぎていくらでも飲めるのが欠点。飲みにくさがないと健康的なありがたみがないのだ。難しいもんですね健康食品も。こんなばかげた買い物をして、長く退屈なお盆期間中を何とかうっちゃりました。
(あ)

ウォーキングウォッチ

九州の本場のものらしい酢

No.254

死の棘(新潮文庫)
島尾敏雄

 日記フリークとしては同じ著者の『死の棘日記』が話題になっているので、ぜひ読みたい。が、本編の小説は読んでいないし、映画も「いつか原作を読むとき邪魔くさいから」という理由で観ていない。日本の近代小説の名作といわれる本書を読んでいないのに創作の舞台裏の日記だけは読みたいというのもヘンかなあ、と実はいやいやながら本書を読み始めた次第。あまりに不純な動機で作者には申し訳ないが、これが正直な気持ち。でも、やっぱりというか読み始めたらやめられなくなるほどおもしろかった。おもしろい、という言い方は失礼か。それにしても、これだけ執拗に「狂気」を描かれると、何かしらの救いがほしくなるのは人情だが、どこにもほとんど救いがない、というのだからすごい。ぎりぎりまで追い詰められた夫婦の壮絶な葛藤が、ページをくくるたびに繰り返され、ウンザリもするが次の新たな展開を期待して読むことをやめられない。かろうじて「救い」は二人の子供たちの覚めた視線かもしれない。後年、高名な写真家になるこの息子さんの著書は2冊ほど読んでいるが、小さなころにこれだけの修羅を体験したことが、マイナスではなくプラスに作用して自己形成の大きな力になっているのが彼の作品から感じられる。

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