Vol.262 05年9月16日 | ![]() |
米の値段が1万円を切る日 | |
事務所前にアパート群ができて、まったく田んぼが見えなくなってしまった。これが自分の精神面にどんな影響を与えるか、客観的に見てみたいのだが、この「実験」には少なくても2年はかかりそうだ。稲の生育で四季の移ろいを感じることができなくなったので、今回はわざわざ(というほどでもないか)アパート群裏まで回って、わずかに残る田んぼの写真をとってきた。この写真ではよく分からないが、実は近所の田んぼを観察したかぎり、けっこう倒伏が多い。今年は豊作がほぼ決定しているらしいが、これだけは刈り取るまで何があるか分からない。そんな中、今年の農協の米買い取り仮り払い金が一俵(60キロ)1万2千円と発表になった。小生が調べた範囲では、専業農家は一俵1万円を切るとほぼ倒産する。原料などコスト代だけで1万円かかっているからだ。そのボーダーラインのギリギリまで迫っているのである。米が1万円を切る日、日本から小さな専業農家はいなくなる可能性が強い。いや、大潟村の農家ですら半分近くは岐路に立たされるだろう。これは大変な危機的状況なのだが、不思議なことにマスコミをはじめ、国民のほとんどは「今ここにある米作りという危機」をさほど重要視していない。いまに、お金持ちのグルメたちは「コメだけは国産じゃないと口に合わなくって」などという台詞を吐く時代になっちゃうよ。
(あ) | |
倒伏が分かりますか。アパート群の蔭になってみえない無明舎 |
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