Vol.264 05年10月1日 | ![]() |
面白い本で、ご機嫌な日々 | |
夏に桐野夏生の新刊『魂萌え!』を読んで、そのおもしろさに感動、彼女の文庫本を立て続けに読み始めた頃から、読む本買う本、ほとんど「アタリ」。いつもアマゾンのネット書店で本を買うのだが、最近は旅先の本屋で買うケースが多いのも確率(いい本度)が良くなった要因かもしれない。それにしても「こんな本があれば読みたいなあ」と思っている本が、図ったようにタイミングよく出るのが気持ち悪いほど。集団就職の本が読みたいと思ったら大宮知信『「金の卵」転職放浪記』(ポプラ社)が出るし、内田樹の新刊にもしばらくご無沙汰だなあと思っていたら『身体の言い分』が出た。 |
みんな面白かった。ありがとう |
近頃もっとも気がかりなのは新聞ジャーナリズムの未来で、ここ数年内に大イノベーションが起きるのではと危惧していたら、歌川令三『新聞がなくなる日』(草思社)が出た。考えていたことと同じ内容に二度ビックリ。苫小牧高校野球部の不祥事が発覚する1週間前にツンドク本だった重松清『熱球』を引っ張り出し読んでいたのも偶然にしてはできすぎで、その重松の新刊『その日のまえに』にも泣かされた。短編だと思って読んでいたら後半でいきなり長編小説にかわる仕組みにも驚いた。トイレ本(じっくり時間をかけて読む本)の農口尚彦『魂の酒』も読み出したらトイレから出られなくなるほどおもしろいし、これも最近気になっていた平成時代の「新貧乏階層の出現」を面白おかしく観察した『しみったれ家族』(ミリオン出版)も興味津々読み出した。そして、拾い物といえば失礼だが今回の最高の傑作は、小川有里『定年ちいぱっぱ』(毎日新聞社)。定年退職して家に居着いた夫との穏やかならぬ日々を描く抱腹絶倒エッセイで、これは本当におもしろい。この手の「鬼嫁もの」や「ポチ化する夫」のエッセイはブログで盛んらしいが、ほとんどは編集者のチェックを受けてないので本になっても浅くて品がない仕上がりになる。ブログから本になるケースが増えているが感心する本は本当に少ない。ちなみに小川の本は「サンデー毎日」連載の単行本化である。 (あ)
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ギネスで乾杯 | |
半月ほど前、新しく秋田に赴任して来た新聞記者のOさんと飲んでいると、突然アイルランドの話しで盛り上り始めました。Oさんは取材で2度訪れたことがあるらしく、それも彼の国が好きで、自ら申し出てのことだったようです。秋田にもアイルランド好きが何人かいるので、集って飲みましょうということになり、呼びかけたメンバーは無明舎出版の社員旅行でアイルランドに行ったNさんと舎員のTと元舎員のS(しかし当日風邪で参加できず)、それにライターのFさんの6人となりました。せっかくだからギネスが飲める店にしようと、ギネスのHPで探したり、人から聞いたりして手形のTという店に決め、昨晩その店に集合しました。誰かが勝手に「アイルランドの会」と名乗り、ギネスで乾杯しながら思い出話に花が咲き、座が盛り上がること盛り上がること。誰とも無く「次は地図を持ってきて話しましょう」とか、「あのアイルランド映画のビデオを持っているので貸します」、「次回はあの人も呼ぼう」というように話しが広がり、そのうち2回目の会を開くことも決定。帰り際、店の女性主人いわく、「私もアイルランドが好きでこの前行ってきました」とのこと。秋田にもあのヨーロッパの片隅にある、北海道と同じくらいの面積しかない小さな国に、結構遊びに行く人がいるんだなあ、と認識させられた一夜でした。 (鐙) |
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