Vol.275 05年12月17日 | ![]() |
熊肉の里 | ||
今年の冬は根雪が早いようです。しかし、雪が降り始めて間がないため、今積もっている雪がこのまま融けないで根雪になるかどうかまだ分かりません。この時期から根雪になるとしたら、いつもの年より早いですね。でも1週間前には雪がなくてはらはらしました。無明舎出版で制作をしている道路情報誌「ラルート」の表紙は、1年前から道の駅シリーズになっていて、12月末に発行する33号は秋田県北部の山中にある道の駅・阿仁と決まっていました。しかし雪がありません。この時期に発行する号の表紙が雪無しでは様にならないため、毎日祈るように降雪を待っていました。印刷の締め切りを考えると、先週の土・日がタイムリミットでした。デザイナーや関係者からは「鐙さん、雪降るでしょうね」と言われますが、神様でなければ分からないことで、頼りは週間天気予報の「週末は雪だるまマーク」くらいのものです。金曜日、盛岡に泊った私は早起きして祈るような気持ちで阿仁に向かいました。幸いなことに県境の仙岩峠あたりからあたりは雪で真っ白になり、生保内、角館と雪だらけです。阿仁に越える大覚野峠は50センチ以上の新雪で、除雪車がまだ来ていないため越えるのがやっとでした。モデルさんとカメラマンと待ち合わせている道の駅周辺は20センチほどの積雪でしたが、撮影は無事終了。 帰り際に道の駅の直売所をのぞくと熊肉が売られています。さすがマタギの本拠地阿仁。熊肉のブロックから、レバーやハツ、骨などが冷凍ケースに並んでいます。道の駅の係員に売れているのか聞くと、「結構売れますよ」とのこと。その後、「マタギの湯」という公共温泉に足を向けました。この温泉が「どぶろく特区」の認可を受けたため、どぶろくの仕込み風景を撮影するためです。温泉の食堂で昼食にしましたが、勢いで「熊肉ラーメン」を注文。ちょっと肉の臭みが気になりましたが、味は悪くありません。ここには「熊肉鍋」などもあり、「熊肉とどぶろく」人気が出そうな組み合わせです。気分よく全ての取材予定を終えることができたので、そこから男鹿半島にある北浦漁港に走り、ハタハタのしょっつる鍋を楽しんできました。 (鐙) | ||
表紙の撮影風景。モデルは秋田県の「花まる観光キャンペーンレディー」さんです | 道の駅に並んでいた熊肉 | どぶろくを仕込んでいるずんどう。お客さんには12月16日から振舞われています |
この雪景色に閉じ込められて | |
「とうとう」またあの冬(雪)がやってきた。「あの」ってどこ? といわれそうですが、毎年毎年ただただ飽きもせずにやってくる「いつも通りの冬」のことです。気力も体力も横溢していたころは、冬がどうした、雪がナンボのもんじゃ、と威勢がよかったのですが、もういけません。雪が降ると日常の仕事からプラベートな散歩に支障が出てきて、これに費やされる時間や労力は半端でなく、ヘトヘトに疲れてしまうのです。仕事で疲れる前に雪との格闘でへばってしまうのですよ。1日に2回は確実にやらなければならない事務所や自宅の雪かきはけっこうな重労働。電車やトラック、飛行機はタイムスケジュール通りにはめったに動きません。大げさではなくすべての日程が雪次第。これではまるで原始社会、何とかしてくれ、と叫びたくなります。仕事に関して言えば「雪のメリット」はまったくありません。個人的にもスキーができたり、酔って雪道を歩くのが気持ちいい、といった程度のものです。こんなに大きなハンディをもらって仕事や暮らしをしていかなければならないのです、雪国というのは。もちろん見返りもほとんどありません。そういえば去年の冬もいい思い出はほとんどなく、むなしく過ぎて行った記憶が鮮明です。今年はなんとか雪を逆手にとって、ホットな季節に「組み替えてしまう」方法を模索中なのですが、そんなやわな相手でもなさそうです。冬の楽しい過ごし方を、本の企画以上に真剣に考える環境におかれるなんて、思ってもみなかったなあ。 (あ) | |
舎は冷蔵庫のよう | 2階から見える雪景色 |
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