Vol.279 06年1月13日 週刊あんばい一本勝負 No.275


大雪ニュースばかりで恐縮です

 多くの方から「大雪見舞い」の御連絡いただきありがとうございます。当地での災害や事故のたび、お見舞いをいただくのですが、これまでは、そのほとんどが他人事でした。しかし今回ばかりは仕事に支障の出る大問題になっています。昨日はどうにもならなくなり高齢男性3人衆(全員)が我が家の屋根に登り、長いスコップで事務所の屋根の雪下ろしをしました。事務所の屋根に直接登るのが危険なためです。事務所周りだけでなく、それぞれの家の雪かきもあり全員筋肉痛で、朝の出社時間も30分遅くなっています。自動車が使えず徒歩通勤者もいます。小生は、自宅と事務所それに同居している義母の家の三カ所の雪寄せがあり、とても体力が持たないので、湯沢市の弟から「雪下ろしのプロ」を派遣してもらい急場をしのいでいます。雪下ろし労働力を確保しようにも何週間待ちの状態ですので、これは助かりました。ただ、ちょっと誤解があるようですが秋田県全体が豪雪で困窮しているわけではありません。88年ぶりといわれる豪雪は秋田市だけで、ここは元々あまり雪が降らず、インフラがそれように整備されていないために大混乱になっているというのが実情です。雪どころの県南部は例年と変わりなく粛々と「すこし早めの豪雪」(いつもは2月)をやり過ごしています。今週末あたりから寒気は緩み、雨になるという予想ですが、喜んでばかりもいられません。雨で重くなった雪で押しつぶされる家が出てくる可能性があります。小舎でも山にある倉庫の雪下ろしをするつもりでいます。しかし、これだけのエネルギーを仕事に向けたら本の2,3冊はとっくに出来ていたことでしょう。そう考えると、なんとなく腹立たしい新年ではあります。
(あ)

雪降りの合間に

 ここのところの大雪で話題は雪のことばかり、といった昨今ですが、先週末、雪が小降りになったのを見計らい、懸案だったシーカヤックをようやくカヤック小屋に仕舞うことが出来ました。夏に使ったシーカヤックを何で今頃かというと、秋の日本海は透明度が高く、晴れていれば波もほとんどないため男鹿半島で遊ぼうと考えていたのです。しかし、毎週忙しくてシーカヤックは使わずじまい。そればかりか仕舞うタイミングを逃してしまい、家の軒下に置いたまま雪が積もり始めてしまう始末。気にはかけていたのですが、数日で大雪の下になってしまい、簡単に引き出すことも出来なくなってしまいました。しかもシーカヤックの真上にあたる2階のひさしからは、大きな氷の塊と1メートル以上積もった雪がせり出しています。これが落ちてきたらシーカヤックはひとたまりもありません。そのため雪が小降りになった日曜日に何とか掘り出し、車に積んで秋田市の郊外にある太平という所のカヤック小屋まで運んできました。太平の小屋周辺は秋田の街なかを大きく上回る大雪で、1,5メートル以上積もっています。あまりの積雪のため担いで運ぶことも出来ず、紐をつけて雪の上をソリのようにして引っ張ると、これがまた良く滑ること。思いがけず簡単に小屋まで運ぶことが出来ました。

雪で手が滑って車に積み込むのも一苦労でした

ソリのように引きましたが、雪にシーカヤックは似合いません
 家に帰ってから少しは運動不足の解消をと思い、スノーシュー(西洋かんじき)をつけて家の裏手にある手形山(高さ109メートル)まで遊びに行ってきました。普段は家から20分くらいで着く頂上ですが、さすがにこの雪の中ではそうも行かず、2倍くらいの時間がかかってしまいました。人間の足跡は一切ありませんが、カモシカ、ウサギ、タヌキの足跡や糞をたくさん見ることが出来、思いがけず“アニマル・トラッキング(動物足跡探索)”を楽しむことが出来、ひとり大喜び。もう少し雪が安定してきたら、本格的にアニマル・トラッキングを楽しんでみたいと考えています。秋田市の中心部に近い所での冬の楽しみ方のひとつです。
(鐙)

雪遊びの友“スノーシュー”。どんな深雪でも平気です

腰の腰の高さに取り付けられた看板も半分雪の中。手形山には毎年クマが 出没します

No.275

バイオリニストは肩が凝る(アルク出版企画)
鶴我裕子

 昔からなぜか職業の舞台裏に興味がある。自分でも「鉱夫」や「花火師」の本を編集しているし、銀行員から養蜂家、書道教師からホームレスはては犯罪者の獄中記まで、とにかく表面には出にくい普通の人々の赤裸々な暮らしと仕事」をのぞいてみたいのだ。それ系の本が出るとまず間違いなく買うのだが、最近は版元を見て、この出版社が出すものなら大丈夫、ここのものはタイトルはいいけどちょとマユツバかも、といった自分で言うのもなんだが同業者の判断も加味される。本書はN饗のベテラン・バイオリニストのエッセイである。まったく知らない版元から出ているのに「???」という疑問と不安もあったが、N饗バイオリニストの舞台裏なんてめったなことにはのぞけない。予想通りおもしろい。こんなさばけた著者だから、そしてN饗では古株なので「ここまで言ってもいい」のだろう。驚いたのは、マエストロといわれる外国人指揮者とオーケストラ・プレーヤーの関係である。著者はユーモラスにだが何度も「一番いいところだけをかっさらう連中」と指揮者を糾弾する。それが陰湿な感じを持たせないのは著者の人柄だろう。山形生まれで東京芸大卒なのだが、ヘンなエリート意識も劣等感もないのが、いい。この本がもし大手出版社から出ていれば本全体のイメージはまたずいぶん変わったものになっただろう。食材はいいのに料理(編集)はそれに追いついていないのかも。

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