Vol.28 3月10日号 週刊あんばい一本勝負 No.25


宅配便なしでは生きられない

 わが舎は宅配便依存度がかなり高い。毎月の請求書がいつも30万円を超しているから。いろんな事情があり宅配便依存は高くなる一方なのだが、自分の本で「宅急便」という書き方をしたら読者の方からお叱りをうけた。「宅急便」というのはヤマト運輸の商標登録で、一般的には「宅配便」という表記をするのが無難なのだそうだ。知りませんでした。
 その宅配便で、最近頭にくるミスが続いている。息子の引っ越しにあわせてしつこいほど日付指定をして近所の家電屋からものを買ったのに、なんと次の日に届けられてしまったのだ。さらに印刷所に何十回も指示して配送日を確約した本の配達(千部単位)が約束よりも2日も遅れて届き、大切な会合に間に合わず著者にへそを曲げられたり、何度も「壊れもの注意」のステッカーを要求しているのに連絡が悪くて忘れるドライバーにも殺意を抱いてしまう。これらの出来事の運送会社はすべて違う会社である。いつも使っているところなら怒りようもあるのだが、見たこともない連中では何ともしようがない。ドライバーは激務で一人一人の要求なんか聞いてられないのかもしれない。怒りを誰にぶつけていいのか、なにか釈然としない。
(あ)

気分の悪いことがつづいてしまう

 宅配便でカリカリしているところに、いやぁな出来事が追い打ちをかける。ホームページ上でちょっと批判めいた記事(書評)を書いた男のホームページに、今度は小生への恨みがましい批判のようなものが書かれていた。書評だからもちろん個人的な中傷などではないのだが、何ともいやな気分である。
 つづいて、「こいつらと仕事をすれば必ずトラブルに巻き込まれる」という直感が働いて仕事を断ったある団体から、小舎のおかげで団体内部に内紛が起きて裁判をやることになった、という恨みがましい電話をもらう。どうも内部でうまくいってなさそうなので、そんなことに巻き込まれるのはまっぴらと仕事を断ったのに、内紛をうちのせいにされるのだから、この連中は度し難い。
 最後はアメリカのある博物館。今度出す本で使う図版類の掲載許可を申請しているのだが、出版が迫っているのになかなか返事がこないのである。つたない英作文で何度もファックスを流し、英語の先生に電話連絡までしてもらったのに、その対応ののろいこと。日本のお役所仕事を笑えない。まあこちらにも落ち度があるからえらそうにはいえないけど、もっとスピードアップしてよ!
(あ)

博物館の図版が載っているカタログ

小石川周辺を歩く

 生まれて初めて東京は文京区にある小石川近辺を歩いてきた。といっても散歩してきたわけではなく印刷所の親父さんのライトバンに乗ってこの界隈の製本所や軽印刷所、箱屋さんや紙屋さんを回ってきたのである。この街が昔から小さな町工場の多い地域であることは知っていたが、どちらかというと近くに東大があり植物園のある知的でスマートな街のイメージの方が強かった。友人のMさんはこの街で生まれ名門・小石川高校を「ビリで卒業し秋田大学にしか入れなかった」と話していた。東京にはすごい高校があるんだなあ、とようやく秋田大学に入った自分が情けなくなったりもしたが、同道した印刷所の親父も「この辺の子供はみんな小石川か日比谷に入って東大というのが当たり前だからね」とのたまった。
 そのへんの知的なイメージが先行してしまったのだが、実際の小石川は下町風情のあるいい街だった。グロテスクにモダンな区庁やその背後に東京ドームやドームホテルの近代美的建物が古い街を囲繞し、講道館があり、秋田では見ることのできないアジア人たちの働く家族的な工場が建ち並ぶこの町に住んでみたくなってしまった。
(あ)

2度目の打ち上げ

 1・2月に全舎体制で集中作業を行い、その打ち上げを2週間前にやりましたが、参加できなかった山形の伊藤さんを中心に2度目の打ち上げを「和食みなみ」で開きました。その日は山形県朝日村の長南さんも今後の取材打ち合わせに来ていたので当然参加。10人ほどのにぎやかな飲み会となりました。
 前回は「グランビア」のスペイン料理とワインで、女性達が中心でしたが、今回は和食に日本酒、焼酎というメニューのためおじさん達が大張り切り、めずらしく2次会まで繰り出してしまいました。カクテルとウィスキーをガンガンやり翌日はひどい二日酔い、こんなときには恒例となった「熊の胆」を飲むものの格段の効果はなく、皆で辛い一日を過ごしました。
(鐙)


「和食みなみ」での様子

2次会の様子

長南さんとアルバイトの斎藤さん

今週の花

 今週の花は、フリージア・チューリップ・ガーベラ・かすみ草です。
 花はたいてい私の机の上に飾られます。すぐ目の前にあるので、強い香りに時々クラッとすることがありますが、それもまた良い気分です。フラワーセラピーというのがありますが、きっとこの香りが身体に影響を与えるのだと思います。
 かすみそうとチューリップはストレスや不眠症に、ガーベラとフリージアは高血圧・低血圧や貧血に効能があるらしいです。
(富)

今週の花

No.25

山根一眞(講談社現代新書)
デジタル産業革命

 これは手放しの「インターネット社会」礼賛の本である。そのことに懐疑を持つものにたいして批判を加えながら、IT革命は新しい時代を構築する時代のエンジンであることを様々な例を引きながら実証していく。時代は、物と金で動いていた商品経済から、情報と人間の「情」を結ぶ金のかからない「情品の時代」へ移行する、と著者は言う。本当だろうか。この本を読みながらも、やはりどこかに眉に唾している自分がいるのはなぜなのだろうか。だまされないぞ、といった敵愾心ではなく、そう簡単ではないのでは、という消極的懐疑なのだが、それも著者のあけっらかんとした礼賛の前に「そうか、やっぱりそうなるのか」と認めてしまう自分がいる。ここ数年、著者は「スーパー書斎術」なる言葉で文房具の世界を専門領域のようにものを書いてきた。その帰結がITという訳なので、それなりの整合性はあるのだが、これほど手放しでストレートなバラ色の未来というのもなんかなあ。本は面白い。後は著者の先験性を信じるてみるか。

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