Vol.306 06年7月21日 週刊あんばい一本勝負 No.302


ジュンサイ・トンブリ紀行

 山本町(現三種町)、比内町(現大館市)、鹿角市を1泊2日の車旅。取材である。山本ではジュンサイ取りの真っ最中(A)、若い親子が箱舟で楽しそうに仕事をしていた。比内町ではトンブリの取材だったのだが、この製造過程(皮むきや保存法)は重大な秘密らしく、工場見学はさせてもらえなかった。その代わり比内の道の駅では写真のような巨大ズッキーニを発見(B)。肥料をやるといくらでも大きくなるそうで、この大きさにもかかわらず値段は120円。まあ客寄せ商品なので儲けは度外視しているのだろう。味は小さくても大きくてもさして差はないそうなので1本買ってみた(まだ食べていない)。昼飯は二ツ井にある、秋田では珍しい手打ち蕎麦屋。トンブリの取材の主目的はトンブリそのものではなく「トンブリ発祥地は比内ではなく鹿角ではないのか」ということを確かめるためだ。大館中央図書館である本の復刻のための大事な要件を済ませてから、今日の宿泊地、鹿角パークホテルにチェックイン。鹿角の郷土料理「美ふじ」でおかみさんからいろんなレクチャーを受けながら食事。「トンブリ豆腐」なるものをいただく。ホテルの朝飯もうまい。米どころでもないのに水が良いのかも。翌朝、国道103号大湯の町を過ぎたあたりで「トンブリ発祥の地」といわれる「箒畑(ほうきばた)」集落を発見、ここで直売所の婦人たちを直撃取材(C)。そのまま十和田湖に向かい、途中で大湯ストーンサークルをじっくり見学(D)。十和田湖でははじめて遊覧船に乗るも途中から大雨でさんざん。遊んでないで仕事をしなさいということか。十和田から285号を通り八郎潟インターで高速に乗り、2時間30分で自宅着。充実した2日間でした。
(あ)

A 親子が仲良くジュンサイ取り

B 机上のズッキーニ

C お母さんたちの元気なこと

D 大湯のストーンサークル

No.302

40`s!(フォーティーズ)(四谷ラウンド)

 もう廃刊になってしまったA5版190ページの雑誌で、創刊記念号である。サブタイトルに「普通」が見えてくる日記マガジンと銘打たれている。実は小生もこんな雑誌を出したかったから、「おんなじことを考えている編集者(経営者)がいるんだな」と驚いた。いまでもウェブマガジンとしてならやりたい気もあるのだが、この雑誌を見るかぎり、やらないほうがいいのかな、という複雑な気分である。この出版社はこの雑誌を出した4ヵ月後、1億6000万円の負債で倒産している。社員は3人、社長のTさんは「出版で1円も稼ぐ気のない人物」だそうだ。そのことは上原隆著『雨にぬれても』の「お金」というルポルタージュ・コラムで知った。いい本を出したいという一心で、それだけで本を出し続けた出版社の社長を上原は好意的に書いているが、同業者としてみれば、それはかなりずれた認識のような気がする。いい本なんかいくらでも簡単に誰でも出せるからだ。ただ、それを実現し、持続させ、長期的なルーティンワークにするためには、絶対的に資金的裏づけが必要であり、いい本はお金を稼ぐことによってしか担保できない、という出版という仕事に無知すぎるからだ。お金に無頓着な出版人というのは、自分以外に興味のない政治家と、ほとんど同義である。

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