Vol.308 06年8月5日 週刊あんばい一本勝負 No.304


たまに買い物すれば、ヘンなものばっかし

 不用意に体重が増えないように気を使っている。たちまちデブってしまう体質だからだが、太るとズボンはじめ洋服を買い足さなければならないのがイヤ、というか辛い。ようするにケチなだけなのだが、この年になると日常生活でほとんどお金を使うことがない。自宅と事務所が隣接しているので交通費も昼飯代もゼロ。毎月本だけは平均20〜30冊買うが、ほとんどアマゾンのユーズドだから金額的には2万円以下、最近は外に飲みに行くこともないし、外食もしない。自分の財布にいくら入っているのか、毎月どのくらいお金を使っているのか、数えたことがないのでわからない。ペットボトルの水やスポーツドリンクはよく飲むが自家製の浄水器の水や麦茶を入れなおしてるだけ。ペットボトルの自動販売機にお金を入れるたびに、もったいないなぁ、と嘆じてしまうタイプである。先週買ったものを思い出してみたら、写真の2つのみ。県南部に出かけ道の駅の路上マーケットでどちらも買ったものだ。ひとつはビニールではない昔ながらの金物のハエ叩き。事務所と家用に2本で200円。もうひとつはピンポン玉ほどもある「日本一大きい飴」。カラフルなフルーツミックスで15個入って315円。色がきれいなことと、少年時代によく食べたので、郷愁で買ってしまったのだが2日に1個の割合で仕事中になめている。けっこうおいしい。先週の全出費額515円、お粗末でした。
(あ)
こんな益体もないものを買っている

No.304

ああ、そうかね(京都新聞社)
山田稔

 毎日、三浦しをんと高野秀行と山田稔の本を交互に読んでいる。最近この3人がお気に入りで、特に山田の本は文庫になっていないし、小さな版元から出ているのでネット・ユーズドや「日本の古本屋」で買い集めている。何冊読んでも飽きないのはどうしてだろう、不思議だ。この本は編集工房ノアの造ったものに比べれば装丁は少々劣る。新聞社というのは本当に本作りがヘタだ。でも内容(文章)はすばらしい。この本で97年、日本エッセイスト・クラブ賞を受賞しているが、この人には賞はあまり似合わない。版元はうれしかったろうけど。本書もパリの街角や何気ない世相、風俗を淡々とつづっているだけ。特別な事件も大上段からの社会批評もない。それなのにどうして「読まされてしまうのか」。自分でも良く分からないのだが、気がつくと丸ごと1冊読み終わっている。文中に出てくるほかの人の詩の引用もいい。「ああ、そうかね」は小津映画に出てくる笠智衆のセリフである。小津は好きになれない、と書きながらも「言葉の過剰が芸を滅ぼす」という信念は、小津の共通の芸術世界である。この本ではないが「過善症」という言葉が何度も出てくる本がある。れっきとした医学用語で「不幸が常態なので、幸福になるとこわい」という病気である。著者はこの言葉を胸に刻みながら文章を書いている。

このページの初めに戻る↑


backnumber
●vol.304 7月8日号  ●vol.305 7月15日号  ●vol.306 7月22日号  ●vol.307 7月29日号 
上記以前の号はアドレス欄のURLの数字部分を直接ご変更下さい。

Topへ