Vol.309 06年8月12日 週刊あんばい一本勝負 No.305


暑中お見舞い申し上げます

 暑いですね。汗まみれになるのがわかっているので外に出る気がしません。クーラーのそばから離れられなくなるのもつらいのですが、室温を26度くらいに設定して、ひたすら引きこもっています。小生のいる事務所2階は西日がもろに入り午後からは熱気がこもります。冷房を22度まで下げても温度計は30度からピクリとも下がりません。そんなときは1階に下りて過ごします。1階も26度に設定しているのですがなぜかヒンヤリと気持ちいいのです。夏は出不精になりますが、これは「ほどよくクーラーのきいた部屋」の居心地がすこぶるいいからですね。秋田の本格的な夏(真夏日が集中する)は梅雨明け後の2週間、ほんとうに短い期間です。この期間はクーラーをフル稼働して過ごしますが、高いお金を出して買ったクーラーの出番はこの前後の4週間ぐらいのものです。隣の自宅にいたっては庭からいい風が吹き抜け扇風機だけでいまだに夏がすごせます。お盆休みが過ぎたあたりからは、夜の散歩中に秋風がかすかに吹いてくるのが熱風の中でも感知できるようになります。そうなるともう冬まで「寒さ街道」をよそ見もせずにまっしぐら、です。もう少しクーラーと暮らす暑くて怠惰な日々が長くても……などと考えてしまうのは、東京の信じがたいほど不快な夏の室内外の温度差を経験したためかもしれません。でもまあ、なんやかんや言っても暑いですね。わずか半年前の事務所周辺の景色をご覧ください。暗くて寒くてうんざりしていただければ、望外の幸せです。
(あ)

No.305

夢のような幸福(大和書房)
三浦しをん

 読みきりのエッセイで、むちゃくちゃ笑えそうで、1話が5分以内で読めること。これが私の「トイレ保存本」の条件である。保存本といってもトイレのたなに差し込んでおいて用便のたびに読むものだが、トイレ本に選ばれるのは自分的にはかなり名誉?なことである。最近はずっとその座を三浦しをんが占めている。わが定番トイレ本である。しかし彼女の何がいいのか。本書に登場する「追っかけ」のロックバンドも愛して止まないらしい漫画の数々も、まるでこちらは興味もない。本に出てくるバンド名やマンガの書名、作家名にひとつも知った単語がない。それでも彼女の本は読み出したらとまらない。年代も興味も趣味志向もまったく違うのに、出るたびに買ってしまうのは小説以外はハズレがないからか。「過善症」という言葉がある。不幸が常態で幸福になるとパニックになる人々を言う医学用語だ。著者はこの「過善症」の反対でしばしば「過悪症」のパニックを起こす。こんなに不幸になるなんて、あとは幸福しかない、と妄想して暴走するのだ。この行動パターンが彼女の特徴だ。同じ年代(20代)の読者層がこの本をどのような楽しんでいるのか、知りたい気もするが、20代の女性に特有な題材をテーマにしているにもかかわらず、もしかすると彼女のファンは中年以上の男性が多いのでは。

このページの初めに戻る↑


backnumber
●vol.305 7月15日号  ●vol.306 7月22日号  ●vol.307 7月29日号  ●vol.308 8月5日号 
上記以前の号はアドレス欄のURLの数字部分を直接ご変更下さい。

Topへ