Vol.311 06年8月26日 | ![]() |
「嫌なことは書けない」という息苦しさと癒しの蕎麦屋 | |
人並みに嫌なことはいっぱいある。この一週間でも不愉快な出来事やむかつく人間との接触が何回かあった。昔は無邪気に(実名こそ出さなかったが)そんな出来事をネット上に書き散らかして溜飲を下げていたのだが、ネットの怖さを知るに連れ、罵倒する相手の名前や事件が容易に想像できるようなことは、いっさい触れないことに決めた。なにせ毎週書いている書評(というか読後感)の「1本勝負」ですら、辛口に取り上げた著者から感情的な〈反撃〉をされたりする世界だから、ネット上で批評活動は難しい。そんなネットに拘束された日常を送っていると(一週間の大半を事務所の自分の机の前で過ごす)、不快なことも少なくなく息抜きが必要になるのだが、外に出るのが年々億劫になっているからやっかいだ。隣が自宅なので衣食住、買い物すべてが半径100メートル以内ですんでしまう、というのが問題なのかも。でも最近、ちょいとした息抜き法を見つけた。蕎麦屋に通っているのだ。蕎麦屋不毛地帯の秋田市で2軒、これならいけるという蕎麦屋をみつけ、息苦しくなるとそこに逃げこんでいるのである。市内中心部にあるA店は、これぞ蕎麦屋といいたくなるシックさで、シンプル、静謐、上品な内装で、昼酒を飲むにはいい雰囲気だが、肝心の蕎麦が細すぎて味がちょっと弱い。郊外にあるB店は、蕎麦も蕎麦前の酒のつまみもなかなかのものだが、なにせ交通の便が悪く、自転車でフラリというわけには行かないのがつらい。それにしても蕎麦屋はいい。他の飲食店と明らかに違うのは、不審な中高年の男が真昼間から酒を飲んでいても許される空気がゆっくりと流れていることだろう。まさにオヤジたちの癒しの空間だとおもうのだが、昼から酒を飲んでいるのはいつも小生ひとりである。 (あ) |
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B店の蕎麦定食 |
A店の蕎麦は細い |
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