Vol.329 07年1月1日 週刊あんばい一本勝負 No.325


あけましておめでとうございます。

去年とはうって変わり、穏やかな新年を迎えました。
明けまして、おめでとうございます。

昨年は、幣舎や私自身にとっても隘路のつづく道程でした。たぶん、この狭い路の先には広々とした明るい視界が開けるはずだ、という淡い希望と信念を抱きながら、歩き続けた1年でした。
が、過ぎてみればすべて遠い過去。元旦という一瞬ですべてをリセットできる日本のお正月という伝統行事に感謝しながら、新しい年を新しい気持ちで寿いでいます。

幣舎は35年ほどの歴史を持っています。その歴史を振り返ると、おおかた5年周期で好不況が交代でやってくるようです。今年は5年間の不調期から抜け出す、新しい5年の最初の年に当たります。ですから今年からは好況に転ずるはず、とこれまた根拠のない楽観に身をあずけて、前向きに老骨に鞭打って歩きはじめようと思っています。

日本の社会も、私どもの仕事である出版業の現状も、憂うべきことのみ多く、安易な楽観は戒めなければなりませんが、どこかに未来を展望する若芽が育っているはずです。自分の拠って立つ足元をもう一度見つめなおし、若芽を見逃さないように、1歩ずつ穏やかに歩いていくしか、方法はないようです。「一隅を照らしたい」という、創立以来の想いの火を消すことなく、今年もトボトボとですが前に進みたいと思っています。
旧年に変わらず、今年もご愛顧のほど、よろしくお願い申し上げます。

2007年元旦 無明舎出版 安倍 甲
事務所2階から撮った元旦の朝の風景。

No.325

うめめ(リトルモア)
梅佳代

 最近、「リトルモア」を創業した元社長のなんとも不思議な自伝風エッセイを読んだばかり。本書もリトルモアの写真集。「新風舎」という出版社も写真集ではおなじみの自費出版社系版元だが、こちらの社長も最近自伝風エッセイを出している。写真集、若い人に売れているのか、でなけりゃ社長の自伝でないよね。それはともかく本書には大笑い。とにかく面白い写真集だ。まだ20代半ばのかわいい女の子(あるHPの対談で実物著者を拝見)なのだが、梅佳代って本名なの? 個展タイトルの「うめかよ」というのも現代的でできすぎなので、ちょっと疑ってみる。本書は、さりげない市井の人々の表情や行動を切り取った日常の写真帖だが、人を食ったようなタイトル同様、思わず吹き出してしまう「ぬるさ」と「ずっこけ感」が共存している。文章でこの写真の「ぬるさ」と「ズレ」の微妙なおかしさを伝えることは筆者の力量では無理、そこがつらいのだが、まあ、買って読んでもらうしかないです。見終わって気がついたのだが、写真集の被写体にカッコいい人物は皆無、ゼロ。被写体全員がカッコ悪い、というかなり「変な写真集」である。被写体は他の誰でもない、どこにでもいる自分自身。人間ってヘン、でもそれが普通、という真面目な視線がおちょくりにもなっている。

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