Vol.331 07年1月13日 週刊あんばい一本勝負 No.327


今年は忙しくなりそうな予感

年明け早々ばたばたしている。1月には珍しく4冊の新刊が出るということもあるが、最大の理由は発売になったばかりの「通販生活」。これに小舎刊の『秋田「物部文書」伝承』の書評が突然載った。事前の連絡が一切なかったため、個人的に購読している「通販生活」が手元に届いてもなんとも思わず放り投げていたのだが、全国各地から電話が鳴り出して、初めて掲載されていることを知った。書評が非常に好意的かつ効果的に書かれていることもあり、これなら注文も来るよな。年明け早々縁起がいい。とりあえずは書評者に感謝しなくっちゃ。今月末発売の「月刊現代」には池内紀さんが今度は『少年』(歩青至著)の書評を書いてくれたとのこと。こちらもブレークして欲しい。

仕事ではない個人の読書生活でも、今年はちょっぴり変化にとんだ展開になりそうだ。今年に入って読んだ本にほとんどはずれがなく、テレビを見る機会がめっきり減った。バーバラ・ビム『秋の四重奏』、北杜夫『どくとるマンボウ航海記』、長園安洪『セシルのビジネス』、吉村昭『仮釈放』……浅田次郎の『地下鉄に乗って』もびっくりした。お分かりのように最近の本ではない。買っておいたが読まずに積んでおいた本を出鱈目に上から順に手に取っているだけ。これでほとんど外れないのだから、なんとなく顔がほころんでしまう。

仕事面でも、年が明けたと同時に3冊の出版依頼があり、どのような形で出版可能か検討に入っている。これもこの時期にしてはハイペースだ。そんなこんなで、なんとなく今年は忙しくなりそうな予感がある。かなりくだびれてきたけど、元気になるビタミン剤は「忙しさ」なのは、これまでの経験から間違いない。
(あ)

No.327

考えないヒント(幻冬舎新書)
小山薫堂

 著者はテレビ番組「カノッサの屈辱」や「料理の鉄人」「世界遺産」などの企画で知られる放送作家である。料理というかグルメに関してのエッセイをよく見かけるので本にまとまったものが出たら読もうとおもっていたら、意外にも幻冬舎の新書シリーズのトップバッターとして登場。現代日本の消費社会の最前線にいるトップランナーの私生活や考え方に興味がない人はいないだろう。さすが幻冬舎。ほぼ予想通りの中身だったが、驚いたのは実家の父親の存在。不動産会社の社長のようだが、突然息子(著者)が「ポルシェを買いたいので1000万円貸して欲しい」と頼むと、この父親、すぐにお金を振り込むのである。でもまあ自分が父親の立場だったら、やっぱり出すかな……お金があれば。日大芸術学部というのがものすごい競争倍率(45倍)なのも初めて知った。優秀で面白い人クリエーターが出るのに納得。メディア(テレビや雑誌)は時代の最先端だとおもっていたが、六本木ヒルズができたとき「場所」がメディアに取って代わって最先端になった、と言うくだりが印象に残る。しかし、この才能豊かな著者も、こうしたメディアの世界では20代30代の若きクリエーターたちにいずれ「ダサイ・感性がズレてる」と批判され、乗りかえられていくのだろうな。

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