Vol.334 07年2月3日 週刊あんばい一本勝負 No.330


落ち込み・DS・一列待機

いやぁ今週はずっと落ち込んでた。何がどうしたというわけではないんだが、どうにも気持ちが前に向かっていかない。こんなときってあるよな、と思いたいが、でもやっぱり50代後半になってから多発している現象だ。仕事が一段落してヒマなことも遠因としてありそうだが、たっぷり自分の時間が持て、自分の空間に引きこもって誰とも話しをしない、という理想的な状態が逆に不安やストレスの引きがねになっている典型なのかもしれないな。映画を見たり、本を読んだり、外に酒を飲みにいったりして、これまではどうにかやり過ごしてきたが、外に出るのは億劫だし、過度に映画や本で目を酷使すると頭痛がするようになった。やっぱし年だね。
父親の3回忌を終え少しほっとしている。実家に帰ると弟の子供たちがニンテンドーDSに夢中。借りてやってみるとことのほかハマル。脳年齢テストや漢字検定程度でもこれだけ面白いのだから、英会話や料理レシピのソフトならもっと楽しめるかも……と思ってさっそく買いに走ったのだが、どこも品切れ。ネットでも2万5千円もする。1万6千円の定価が中古でも倍近い値段なのだから、知らないとはいえゲーム機の世界を甘く見ていた。弟の子供たちもかなり苦労して入手したもののようだ。携帯電話は一度も欲しいと思ったことがないが(今も持っていないが)、このゲーム機には心動かされる。高い値段だけどネットで中古を買っちゃおうかなあ。
お昼時間に毎日のように徒歩で駅前までフラフラ散歩している。夜は寒くてしんどいので昼に変更したのだ。カミさんの帰宅にあわせて夕食が8時頃、その後、気合を入れて冬の夜のさびしい場所をトボトボ歩くのはせつない年になったのだ。駅まで歩いて、秋田に1軒しかないスターバックスに入る。注文は「カフェラテ、トール、マグカップ」だ。360円。東京でもよく入るのだが概観も味も従業員の挨拶もまったく同じ。といいたいところだが、コーヒーができてくるまでが東京の2倍近い時間がかかる。混まないせいかスローモーなのだ。少し混み始めると今度は注文カウンターが「一列待機」(フォーク並び)方式でないため、横からスイスイ後ろの客が割り込んでくる。従業員が注意しないのは一列待機のことを知らないからだろう(これはビデオのTUTAYA店も同じ)。カウンター窓口は2つも3つもあるのに、めったに混み合わないため、これでいいと思っているのだろう。しかし、これは客サイドからみると腹が立つ。客が1人でも一列待機はするべきだ。スタバやTUTAYAにも地域格差があるなんて、知ってた?
(あ)
2月2日の日本海
弟の子供たちとDSで遊ぶ

No.330

悪人正機(新潮文庫)
吉本隆明・糸井重里

 団塊の世代で最も輝いている人間をひとり上げなさい、といわれれば同世代である筆者は「糸井重里」の名前を上げたい。コピーライターとしての仕事でどのような実績があるのかはよく知らないのだが、「ほぼ日」という独自のネットメディアを創出した、その1点だけで大きな評価をしている。その才能豊かな糸井の、思想的バックボーンが吉本隆明であることは本書を読めば一目瞭然である。糸井はあくまで「聞き役」に徹しているのだが、テーマ毎にまとめてあるリードや、テーマ設定に糸井色が色濃く出ている。「ほぼ日」の読者として糸井に感じていた「やわらかな信念」のようなものの核が吉本の言葉として随所に散見される。「他人というのは、自分が自分を考えているほど、君のことを考えているわけじゃない」。「わからないのにわかっているように言うことを、とにかく警戒すればいい」。「人助けなんて誰もできない」。「みんなが同じようなことに血道をあげて、一色に染まりきらないと収まりがつかないって人たちは、根本の人間の理解から違っている」。「自分の思っている自己評価より高く見られるようなことだったら嫌だけど、出鱈目なこととか、低く見られることならいいんだって言うのがこっちの原則」。……本書は対談の歴史的名著なのかもしれないなあ。

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