Vol.342 07年3月31日 週刊あんばい一本勝負 No.338


新刊ラッシュと年度末とジッコの道

 学習能力がない、と笑われそうですが、今週1週間に5冊の新刊が集中して出てしまいました。お役所の年度末で、どこもかしこもむちゃくちゃ忙しいこの時期に、よりによって23日から隔日新刊ラッシュが続き、30日ようやく最後の5冊目が出て、全部の作業が終了しました。ホッとしているところです。
 この下旬には定例の春のダイレクトメールを出し終えて一息ついたばかりでしたが、この愛読者への定期便に「んだんだ通信」というミニコミ誌をあらたに製作同封したため1週間ほどの時間がとられました。年2回の棚卸や編集を請け負っている季刊誌「ラルート」の発売、公官庁仕事の年度末締め切りも、すべてこの下旬に集中、テンヤワヤでした。でも4人の人間がいつもと変らず淡々と作業をこなし(毎日10時過ぎまで仕事をしていましたが)、どうにか新しい年度を迎えることが出来ました。確か去年は若いアルバイターが3人ほど常駐し、この忙しい年度末を乗り切ったのですが、ロートルだけでもやれば出来るもんですね。4月からはまた穏やかな日々が帰ってくる予定ですが、ひとり60歳定年退職を迎える人間がいて、しばらくは3人体制でシコシコやっていくことになりそうです。会社としては、忙しいにこしたことはないのですが、人員や能力、年齢や環境を鑑みれば、昔のような猪突猛進型の仕事や長期じっくり調査型の仕事は難しい、となかば諦観しています。目の前の仕事を丁寧にひとつひとつクリアーしていくしかありません。個人的には近所のスポーツクラブ通いを再開し、友人が主催する「山の学校」に入校して今年は山登りでがんがん身体を苛め抜くつもり。身体は元気なのに、気持ちが付いていかない、まさに「ジッコの道」をとぼとぼ歩んでいます(ジッコは方言で老人のこと)。
(あ)
これが5冊の新刊
愛読者用の通信と季刊誌ラルート

No.338

愛がいない部屋(集英社)
石田衣良

 何でこの本を買ったのだろう。過去に確か1冊ぐらいはこの作家の本を読んでるのだが、あとは映画で「池袋ウエストゲートパーク」を観たぐらい。「池袋」は確かに面白かったが、あくまで映画。何でこの本に触手を伸ばしたのか、今もって意味や動機がわからない。そのため買った後、まったく読む気がおきず本棚に差し込まれたまま1年近く眠っていた。それがある日なんとはなしに(読みたい本がなかったので)読み出すとショック。ある東京の巨大マンションの各部屋で起きる恋愛模様を10本の短編小説にした連作集なのだが、舞台のマンションが筆者が2年余、東京事務所として借りていたマンションそのものが舞台なのである。これは驚いた。読み始めてすぐにそのことがわかり、ベッドからころげ落ちそうになったほどだ。後は一気呵成、半徹夜状態で読了。読み終えるのが惜しかった。小説には珍しく本書には「あとがき」がついている。石田にとって恋愛短編集は3冊目。そこで「場所を限定して書いてみよう」と思い立ち、一棟のガラスとコンクリートのマンションに舞台を圧縮。華やかな都会の素敵なマンションに住む「そう自由ではない人々の暮らし」を鮮やかに描いている。

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