Vol.344 07年4月14日 週刊あんばい一本勝負 No.340


大人の遠足に行ってきました

 3年ぶりかな、東京奥多摩の山に登って以来だから4年ぶりか。山登りを再開しました。山頂にまだ雪の残る、早春の男鹿三山の山歩きを楽しんできました。再開を祝うかのように前夜から雨と雷が降り注ぎ、朝の天気予報では前線が真上で居座り、大雨、雷、波浪、強風……ほとんどすべての注意報が出てくれました。なのに不思議なことだが「大丈夫だろう」というまったく根拠のない自信があり、集合場所に行くと他のメンバーも当たり前のように雨のバスに乗り込んできました。雨でも嵐でも「とにかく山に入りたいッ」のです。「山の学校」メンバー8人と共に市役所前を朝7時出発。北浦の真山神社から歩き始めるころには、あら不思議、雨はやんでいました。きつく長い登りが終わる山頂の自衛隊道路につくと同時にものすごい雨。その雨の中で優雅にコーヒータイム。その後はダラダラのくだりが続き、五社堂について昼ごはん。寒かったし登りもきつかったのでが、ベテランクライマーたちの足慣らしに足手まといにならず付いていけたことに、まずは大満足。雨でしおれていたがカタクリの花がきれいだったし、危険なトリガブトがいたるところに生えているのにも驚きました。観光地の男鹿にたいしては批判的な視点しかもっていなかったのですが、いやぁ自然はかなり奥行きがある。派手な観光地とは裏腹に、シックでシンプル、さりげなさが魅力的。大人の遠足地としては穴場ですね。
(あ)
みんなで記念写真
まだ雪が残っている
かたくりの花

No.340

どくとるマンボウ航海記(新潮文庫)
北杜夫

 前作がとんでもなく面白かったので、最新作が出るとつんのめるようにページをくくるのだがまったく期待はずれ、という本(作家)がけっこう多くなったような気がする。前作を誉めてここに取り上げた関係もあるので実名を挙げるが、「定年ちいぱっぱ」の小川有里。最新作の続編「定年オヤジのしつけ方」はまるで面白くない。「反社会学講座」に驚いたパオロ・マッツァリーノの「つっこみ力」も無残だった。次から次へと読者をうならせるような作品を書くことがいかに難しいかを証明しているともいえる。そんな期待はずれの失望感に陥ったとき、表題作のような「古典」を読むと落ち込んだ気持ちをかなり前向きに呼び戻すことができる、という法則も発見した。古典や名作として時代の荒波を生き延びてきた作品は、好き嫌いはともかく読者を裏切らない。吉村昭の「仮釈放」もそうだが、名作は奇をてらったり奇抜なアイデアや驚くような構成はない。しごくまっとうな表現やテーマを扱ったものが多い。本書も紀行文学の王道でありノンフィクションとフィクションの境目はどんなに目を凝らしても見極めは難しい。ものすごく食材に手の込んだ食堂の定食を食べた気分で満腹感と充足感が同時に味わえる。

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