Vol.345 07年4月21日 週刊あんばい一本勝負 No.341


桜・新聞連載・山の学校

 今週、ようやく秋田は桜が満開となりました。近所の大学病院前の桜もなかなか風情があるのですが、もう少し足を伸ばし、市街のど真ん中にある千秋公園の夜桜を「花見」前夜に見て来ました。人のいない咲き始めの桜もいいものです。以前、酔狂にも弘前まで足を伸ばしたこともありますが、その巨大イベントぶりに、とてもついていけませんでした。あれでは朝っぱらから酒でも飲んでハチャメチャにならないと、ハイテンションの「祭りモード」とつりあいません。うるさいだけ選挙戦に迷い込んだような感じでした。そういえば津軽は選挙と祭りが好きですもんねぇ。桜は一人で静かにぼんやり見るのが一番いいかも。

 仕事の忙しさは一段落しました。朝日や岩手日報、春のDM発送や新刊ラッシュ、新年度締め切りの公官庁関係の仕事、すべて終了。おまけに3年余り週一で書き継いできた朝日新聞秋田県版の連載『食文化あきた考』も120回で最終回を迎えました。本当は100回で終わる予定だったのですが、朝日側の意向もあり20回分追加。けっこう調べることが多くしんどい連載だったのですが、終わるとなると「あれも書けばよかった、これも書きたい」と未練も出てきて、こまったものです。朝日と入れ替わりに4月からは、河北新報(仙台市)に「元気東北」という、これまた週一のコラムを書いています。秋田県大館市の北鹿新聞にも週一で「メタボ・オヤジどすこい奮戦記」という同時進行ダイエット連載を無謀にもはじめてしまいました。どちらもウェブで読むことができます(たぶん)。朝日は最終120回目がGW前で、その後は月一で「あきた時評」というリレーコラムを引き続き担当します。ですから仕事はヒマになっても、毎日机に向かって、でまかせ無意味原稿をせっせと書いています。

 忙しさからようやく抜け出ても原稿書きで四苦八苦の毎日です。自分で自分の首を占めているだけなのですが、そんななかで楽しみは週3回は行くスポーツクラブのエアロビクス。それと週末の山登りです。明日はその「山の学校」の入校式。この年になるまでほとんどの組織や会員なるものと無縁でしたが、このアウトドア・クラブには積極的にこちらから入会(校)させてもらいました。先週の「男鹿三山お山 花めぐり」登山で、他の人たちに迷惑をかけない程度の体力がついていることがわかったので、今年の春は毎週県内のどこかの山に登ろうと思っています。週末は原稿書きにほとんどの時間をとられていましたが、これからはアウトドア専用です。東京への出張回数も減りそうです。
(あ)
山の学校の校長・藤原優太郎さん
大学病院の桜と太平山
準備たけなわ千秋公園のお花見

No.341

香水(文藝春秋)
パトリック・ジュースキント・池内紀訳

 「パフューム」という題名で映画を、さかんにテレビなどで宣伝している。キャッチフレーズから推測するに表題作の映画化のようだ。本書は88年に初版が出ているから、映画化まで20年近い歳月がかかった計算だ。ヨーロッパでベストセラーになってからではもう4半世紀たっている。題名からもわかるようにテーマは「匂い」。映画化は至難の業、と誰もが思っていた。サブタイトルの「ある人殺しの物語」というのも意味深で、読者の想像力をかきたてた。小説だから殺人が起きてもなんの不思議はない。それをあえてサブタイトルに「人殺し」と付している意味は読み終わると、わかる。池内さんの訳はすばらしい。でも日本国内ではそれほど売れたわけでもなさそうだ。池内さんが訳すのだから原本はドイツ語なのだろうが、物語はフランス17世紀が舞台。ヨーロッパ全土でベストセラーになったとはいえ、かの国の「匂いの文化」とはちょっとテイストの違う日本では、物語の構成が過激(とっぴ)でリアリティを感じられないかもしれない。とにかく昔のヨーロッパは汚くて臭くて、どうしようもない都市だった、という雰囲気はよく伝わってくるが。映画化で本が売れ出せば面白いのだが、どうだろう。

このページの初めに戻る↑


backnumber
●vol.341 3月24日号  ●vol.342 3月31日号  ●vol.343 4月7日号  ●vol.344 4月14日号 
上記以前の号はアドレス欄のURLの数字部分を直接ご変更下さい。

Topへ