Vol.348 07年5月12日 週刊あんばい一本勝負 No.344


「小阪満夫写真館」がHPではじまりました

 週刊ニュースの更新が遅れてしまった。週末は鶴岡でウオーキング大会があり、翌日は羽黒山の修験者の道を歩いてきた。秋田に帰ってきたのが月曜日で、新聞原稿(河北と北鹿)と、ある写真集のための長い解説文の締め切りがあり、そちらに忙殺され、書きそびれてしまった。ごめんなさい、ッテ誰に謝っているのか。今週のニュースは、書くことは決まっていた。だからちょっと油断したのかも。HPのトップではじまった「週刊 小阪満夫写真館」のことだ。前からこの企画をやりたかったのだが構想がうまくまとまらなかった。カメラマンの小阪さんとは長いつき合いだ。彼が秋田にやってきた30年近く前からの知り合いで、最初は阿仁のダムに沈む村の取材をムービーで撮っていた。次第に写真に軸足を移していったのだが、この間、数多くの無明舎の仕事をやってもらっている。彼の仕事でもっとも話題になったのは砂室圭著・小阪満夫撮影「バス時刻までの海」だろう。すでに絶版の本だが、作家の椎名誠さんが「自分の好きな10冊の本」にこの本を選んでくれ在庫は一気にはけてしまった。今回、HPに発表する作品は、ほとんどが未発表。この30年間に彼が撮りためてきた四季折々の農村のスナップである。気に入った写真があれば額装して、お分けします(送料とも2500円)。とりあえずは1年間、毎週2回更新しながら季節感のあふれた「村の1年」をモノクロームの写真でお楽しみください。
(あ)

No.344

あなたがパラダイス(朝日新聞社)
平安寿子

 平ファンとしては待望の新刊だが、このところ彼女の小説が以前のように楽しめなくなっていた。理由はいろいろあるが、つまるところテーマがこちらの興味のもてない領域だとダメ、ということのようだ。いくら好きな作家でも小説のテーマをヨ〜ォク知ってからでないと読めないというのは、ま、少し飽きが来ている証拠なのかも。でも今回はドンぴしゃのあたり。4つのまったく違う主人公が繰り広げる中篇が、最後の一篇でスルスルと見事につながる。それぞれ中篇のキーワードは「ジュリー」(沢田研二)と「更年期」。更年期や閉経のことをMENOPAUSEというのだそうだ。この横文字をそのまま曲名にしたジュリーの歌もあるというのだからビックリ。とにかくジュリーに関してのオタッキーな情報量が半端ではない。これは作家自身がたぶん大変なファンなのだろう。ジュリーのどの曲を好きか、で、その人がどの程度のファンか、どこまでジュリーを理解しているか、そこまでたちどころにわかる、というのだから恐れ入る。もちろんタイトルの「あなた」とは沢田のこと。4篇のなかでは独身の図書館員女性を描いた「おっとどっこい」が読ませる。恋する相手が渋い老紳士(60代はもう老人とはいわないのかな)で、その恋の駆け引きというか、もどかしくもいさぎよい距離感に共感できる。

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