Vol.373 07年11月10日 週刊あんばい一本勝負 No.369


声嗄れて、少し忙しくなってきたようだ

 なんとなくあわただしい1週間でした。今、声が嗄れています。話していると急に声が裏返ったり、うまく喉に空気が入っていかない状態になり、搾り出すような感じでしゃべっています。声が嗄れたのは先週いっぱい、いろんな場所に出かけて、いろんな人とおしゃべりしたためです。普段は事務所を動かないので声を出すのは電話や家人とぐらいですが、なぜか先週はいろんな人としゃべりっぱなしでした。
 週のはじめに、いつもお世話になっている「山の学校」の協同作業(山から水を引くための準備作業)に参加しました。終わってから、生まれて初めて「芋ほり」をしました。とった芋はストーブで焼いて食べたのですが、これがうまかった。野外での作業でしたが登山と違い、楽しいおしゃべりを交わしながらの作業だったので、ほとんど遊びのようなものです。
 県北部に行く機会が減っていたのですが、阿仁町(北秋田市)にも行ってきました。食文化に関するお話の仕事で、いくつか個人的な収穫がありました。いつも関心の多くは県南部に集中する嫌いがありますが、阿仁と鹿角は県北部でも突出して面白い場所だなあ、といつも思っています。もう少しこの町のことを探訪してみたい。
 週末は仙岩峠を歩いてきました。紅葉は落ち葉になり、そのフカフカの落ち葉の古道を、国見峠から雫石側まで旧秋田街道を楽しんできました。途中、貝吹山(992m)頂上で昼食をとり、帰りは道の駅「雫石あねこ」で温泉、中仙町の若竹では「そば」を食べてきました。
 仕事のほうも少しずつですが動き出してます。何人かの著者候補とも出会いましたし、面白い企画提案もいくつか持ち込まれています。心配なのは、秋田県内の印刷業界の再編が進んでいるようで、たぶん何社かが近いうちに看板を下ろすところも出てくるかもしれません。60人前後の社員しかいない、ある印刷所の社長が運転手つきの専用車を乗り回し、ゴルフ三昧を批判されない業界ですから同情はしてませんが。書店ではこの12月に秋田駅前に「ジュンク堂」がオープンします。これで既存店の再編は一挙に進むでしょう。いやはや大変な時代になりましたが、私たちはひっそりとながら生き延びてます。
(あ)
これが山の学校内部
フカフカの落ち葉のジュータン
阿仁の郷土料理・岩魚の押し寿司

No.369

縄文時代の商人たち(洋泉社)
小山修三+岡田康博

 縄文中期には富山と三内丸山を結ぶ太い「海上ハイウェイ」があった、というのはもう周知の事実だが、本書ではこうした驚くべき調査報告の数々が、わかりやすい言葉で語られている。三内丸山が1500年間、生活を支えることのできた大きな理由は、春と秋は森の実り、森に食料が少なくなれば海の魚、冬場は保存加工した動植物で乗り切ることのできた森と海を持っていたことだ。さらに血縁関係が稀薄で、血縁とは違う原理が働いていたこと。「ヒスイ」を機軸にした他地域との深い交易があったこと。そこには列島を自由に移動し、ものや情報を動かしていた「商人」の存在があった……と言うのが本書の内容的骨子だ。ヒスイの見返りはサケや毛皮、昆布で、ブナ林は人間の手でクリ林に転換して燃料や食料にし生活建具にも使った。50種類を超える魚の骨が遺蹟からは発見されているが、これは現在の陸奥湾に生息する魚の種類と同じ、だという。基本の単位も35センチか70センチに決まっていて長さの基準はその倍数で、建物の柱の位置を決めていた。こうした知識や情報は、富山の薬売りや奥州藤原氏の「金売吉次」のような存在であった「縄文商人」によって、広く列島に伝えられていった可能性があるというのだから驚く。

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