Vol.39 5月26日号 週刊あんばい一本勝負 No.36


ボイジャーと一会寮

 『秋田のことば』のCD‐ROMコンペのために東京からボイジャー社の北村さんと菅原さんが来舎。ほぼこちらの思い通りのデモ版を作っていただき感謝。そのあとコンペに向けて企画書の詰めの打ち合わせ。この仕事は富山が担当。彼女にとって初めての大きな一人仕事である。夜は歓待の宴席。このところずっとバイトをしてくれている柴田も加わって保戸野の「蜻蛉」で。翌日はいい仕事をしてくれたボイジャーの人たちにおいしいそばを食べさせたくて河辺町まで高速道をつかって足を伸ばす。秋田でおいしいそばというのは難しい注文なのだが、ここ「一会寮」は特別。宣伝もしないしマスコミに取り上げられるのを拒否しているので知る人ぞ知る店なのだが結構口コミでいつも客はいっぱいである。なにしろ「挽きぐるみ」「二八」「さらしな」のそれぞれ太と細しかないというそっけなさ。温かいそばも天ぷらも卵焼きもない。つゆは浅草並木の藪なみの辛さで、ご丁寧なことに円筒系の深い竹の猪口に入ってでてくる。どっぷりとそばをつゆにひたされないように猪口の背を高くしているのだ。とにかく何の装飾もない店なのでひたすらまっすぐにそばを食するほかない。これがうまいのだ。東京でそばを食べ慣れたお二人も満足したようで、遠くまできたかいがあった。
(あ)

一会寮でボイシャーの人たちと

仕事場がここまで変わりました

 今週末でようやく改修工事にめどが立ちそうである。倉庫の建て替えから始まり2階の保管庫、一階の書棚と工事が続いていたのだが、毎日のように大工、電気屋、内装屋の職人がはいって自分の事務所なのに他人に乗っ取られたような落ち着かない気分の日々であった。それもあと数日で終わる(自宅側の小さな倉庫の建て替えがまだ残っているが)。下水道工事もまだ続いている。大きなトレラーが移動するたびに事務所がグラグラ揺れ、苛ついて仕事にならず、近くの喫茶店に出かけ午前中いっぱい急ぎの仕事を仕上げたこともあったけ。ホワイトボードやファックス、コピー機や資料の場所が変わって戸惑うことばかりだが徐々に慣れてくるだろう。とにかく仕事をするために最高の環境を作るのが目的なのだから微調整を加えながら「能率の上がる仕事場」を作って行くしかない。
(あ)

前に資料庫と在庫ラックのあった場所

倉庫でバイト中の若者は…

 毎日のように見知らぬ人が事務所内に出入りしている。いかに普段は静かに仕事をしているか思い知らされる日々である。その一方でこれだけたくさんの他業種の人を居ながらにして観察できる機会というのもめったにないことである。年齢も職業も性別もことなる人たちがなぜか無明舎の事務所で出会い、すれ違い、また自分の世界に帰っていく。なんとなく不思議な気分になってしまう。ところで写真の倉庫で働くさわやかな青年の名前は佐々木翼君、秋田経法大の1年生である。この日の午前中に『ラルート』の写真撮影のモデルとして仕事をしてもらったのだが、午後からは倉庫整理の仕事も手伝ってもらうことにした。実は翼くん、つい先日のNHK杯のカヌースラローム日本チャンピオンである。もちろんオリンピックやワールドカップの日本代表の座に最も近い選手である。いっしょに働いているおばさん軍団は「サインをもらおうかしら」とおおはしゃぎ。いろんな人たちがいる場所は楽しい。
(あ)

日本チャンピオン・佐々木翼くん

ミリオンバンブー

 今週、花屋さんから届けられた花は、アルストロメリア、テディベア(ミニバラ)、クラスぺディア(黄色くて丸い花)、ミリオンバンブーの4種類。ミリオンバンブーは数年前から雑貨店などで見かけるようになり、そのたびに買おうかどうしようか迷っていた観葉植物です。竹のように見えますが竹ではなく、幸福の木などの仲間なんだそうです。ここ数日は気温の高い日が続いて切り花はすぐダメになっていましたが、憧れのミリオンバンブーが届いたからには、現金な話ですがなるべく長持ちするよう手入れをしっかりしてやろうと思うこの頃です
(富)

今週の花

No.36

南伸坊(フレーベル館)
装丁

  まってました、という本である。最近(といってもここ3,4年)自分の読む本の中に南伸坊の装丁がかなり多くなっている、ということが気になっていた。自分の好む本の装丁をする人は、その本の著者同様好きになるのが道理である。それにしてもやけに彼の装丁が最近は多いのだ。白いスペースを大胆に生かして文字だけで飾る彼のカバーが特に好きなのだが、皮肉なことに本書の自著装丁はそんなによくないのはご愛嬌か。洋泉社から出た『三人寄れば虫の知恵』という本が小生の一番のお気に入りでカバーは文字だけ、帯が4色のしゃれたデザインで、これぞ伸坊という装丁である。平野甲賀や菊地信義のような凄みや切れ味とはまた違った、あったかさとシャープさが彼の身上なのだが、本書では自分の装丁を語りながらも作家や本についての深い理解と愛情が行間からたち上がってくる。そしてその言説が見事な書評にもなっている。日下潤一さんの装丁の本も出ないかなあ。

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