Vol.398 08年5月3日 週刊あんばい一本勝負 No.394


楽しいGWを!

GW直前に、デザイナーが突然病気で入院するというアクシデントがあり、彼がかかえていた仕事を振り分けするのに3日間、忙殺されてしまいました。なにせウチの仕事が長いので、彼だけがウチの蓄積データを持っていて、他の人が代わってすぐにやれる、といった類のものでないのが、つらいところです。どっと疲れました。これからは、こうした不測の事態が「日常的」に起きていく年齢になったということでしょうね。

山と渓谷社が出している「ヤマケイJOY」という季刊誌に、定期的に短い原稿を書かせてもらっています。もう夏号締め切りでテーマは「涼」。山の経験がわずか1年なので、山仲間から「山行で涼を感じるとき」を取材し、机に向かいましたが、1行も書けません。人から聞いた話なのでリアリティがなく、書いてもうそ臭さがぷんぷん。すっかり行き詰まり、途方にくれ、メール・ボックスを開くと、数人の友人たちからメールが入っていました。藤原優太郎さん、根深誠さん、平野恵理子さん、塩野米松さんといった面々です。仕事の用件もあれば遊びの相談、時候の挨拶もあります。偶然なのですが、この人たちっ全員、「山関係の本」を何冊も書いているプロの方々。「アッ、オレ、何を勘違いしてたんだろう」と突然気づきました。自分が今書こうとしていることは、この人たちが書けばサマになるが、オレが書けば単なる「知ったかぶり」。そうか、よし、超マイナーな話題だけど、自分しか知らない身辺雑記の「涼」について書こう、と思い直したら、ものの10分で原稿は完成。こんなことって、ありますよね。煮詰まって対象との距離感を計りかねていたんですね。

GW中は友人のカメラマンと山形県側から鳥海山に入り、4泊5日であのへんをウロチョロする予定。毎年、決まってGWのころになると憂鬱な気分に襲われ、落ち込むことが多かったのですが、今年は半月前からこの日が来るのを、まるで子どものころのクリスマスのように楽しみにしていました。GW後の仕事のことを考えると、また落ち込みそうですが、最近は山に入ると仕事のことは一切考えないようになりつつあります。いい傾向ですね。
(あ)

No.394

地図が読めればもう迷わない(岩波アクティブ新書)
村越真

 今はもうない「アクティブ新書」の1冊。この本もずいぶん前に買っていたものだが、ようやく役にたつ「とき」が来た。山登りをはじめたからである。いまのところリーダーやサークル仲間の後を、忠実に付いていくだけのバリバリの初心者だから地図の必要ないのだが、町歩きのウオーキングでも、ひどい方向音痴のため何度かとんでもない失敗をしている。だから地図が読めたらどんなに便利で快適だろう、といつも夢みている。本書と同時に日垣隆著『方向音痴の研究』という本も読んだのだが、方向音痴は「地誌的記憶障害」という立派な病気でもある、とこの本には書いてある。ある研究者は、トイレから出たとたんどこにいるのかわからなくなる「とっさ音痴」、街をぶらぶらしているうちに道に迷う「お出かけ音痴」、東西南北がまったくわからない「東西南北音痴」、人に道を訊ねながらでなければ歩けない「道訊き音痴」の4種類に方向音痴を分類している。小生はこの全てにあてはまる重度の方向音痴なので、まずは簡単な地図が読めるようになりたい、だけである。その答えがこの本にあるかどうかは、ちょっと疑問だが、地図を読む「心構え」のようなものは、きちんと書かれているので参考になる。方向音痴の人の悩みに共感でき、その人たちの立場に立って書かれた地図の本が欲しい、というのが正直な気持ちである。

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