Vol.407 08年7月5日 週刊あんばい一本勝負 No.403


梅雨・原稿・ストレッチ

 梅雨といっても、「雨が降る日々」という雰囲気ではなくなりましたね。なんとなく雨が多いかな、と言うぐらいの感じでしょうか。
 6月もあっという間に終わってしまいました。山は「高松岳」、地震で中止になった「焼石岳」にかわって一人で登った「太平山」、「岩手山」は不動平小屋泊まりで3山。
 本は新刊が1点、増刷が2点ほど。最近この増刷が増えて困っています。新刊が予想以上に売れて増刷するわけではなく、10年以上前につくった本の在庫がなくなり、注文が途切れずあるため「やむなく」、というケースがほとんどです。これでは採算がまったく取れません。でも版元の責任ですので、版を切らすわけにはいきません。むずかしいところです。
 持ち込まれる原稿も多くなりました。なかには素晴らしいものもあるのですが、10本中9本は「ボツ」。大手自費出版社の倒産の余波もあるのでしょうが、行き場のなくなった原稿が回りまわって小舎にたどり着くケースもあるようです。どんな宝物が埋まっているかもしれないので、編集者の性で目を通してしまいます。それでなくとも6月は来客や友人たちと外で飲む機会が多く内臓がくたびれているのですが、とにかく目がクタクタに疲れました。7月以降に出す本もなぜかブログものが多く、プリントアウトした膨大な原稿を読み続けたせいもあるようです。身体の中で一番早く老化現象があらわれるのは、小生の場合、まちがいなく「眼」でしょうな。
 忙しい、というのはありがたいことですね。これはもちろん景気がいい、というニュアンスとは違うのですが、とりあえずは目の前の仕事を手一杯かたづけながら前に進んでいる、と思えるのは幸せです。何もやることがなくてボーっとするだけの日々というのも、今年前半には何日かあったのですが5月以降はほとんどありません。7月は5点近い新刊が出る予定です。新聞広告掲載も4社(魁・山新・東奥・北海道新聞など)、山は4つほど計画しています。
 調子に乗って疲れを残さないよう、細心の注意を払っています。毎日入念なストレッチをしているのですが、これはお勧めです。疲労回復が早いし、特上の栄養ドリンクを飲んでいるような感じです。登山中やその後に、疲労による足の痙攣に悩まされていたのですが、ストレッチ効果でいまはまったくゼロ。いやストレッチはすごい。
(あ)
太平山山頂で
払田の柵をじっくり散歩してきました
岩手山は素晴らしい山でした

No.403

田舎暮らしに殺されない法(朝日新聞社)
丸山健二

 バラ色に塗りこめられた「第二の人生・田舎暮らし」について、いつかは誰かが、そのブームに水を差すようなカゲキな批判本を書くだろう、とは思っていたのだが、まさかこの人が。ま、これまでの言動から推察すると、わからないわけではない。適任者といえるのかもしれない。私自身も、これまで何人かの都会からの移住者を見て来た。実際、そのうち定着できたのはほんのわずか。そうした人たちには強靭な意思と、退路を断った崖っぷちのエネルギーが満ちあふれていた。そのいっぽうでテレビの「田舎暮らしの楽園」などに登場する人物たちは、おしなべて覇気が感じられない。「いい人」どまりだ。だいたい、都会生活では得られなかったすべてが田舎において手に入る、というのは妄想に近い幻想である。そうした人を著者は「自立精神の欠落した人」と決めつけている。さらに、これでもか、これでもかと畳み掛けるように、田舎の怖さ、残酷さ、自然の厳しさを力説する。しまいには「田舎には泥棒や犯罪者が多い。自分の身は自分で護れるか」とまでドーカツする。このへんんいなると思わず笑ってしまうが、著者は真剣である。著者も言うように、確かにテレビなどで観る定年後の田舎暮らしをめざすパターン化した男たちの顔には「卑しい、甘えた、遺伝子のなかに隷従の根性が組み込まれた」共通の特徴を持っている……ような気もするのだが、ここまでいう勇気はない。

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