Vol.416 08年9月6日 週刊あんばい一本勝負 No.412


不規則な生活・WEB版んだんだ通信・販促活動

 週末恒例の山歩きは2週連続ご無沙汰。天候が荒れ模様だったので先週の神室山も中止。夏山シーズンなのに残念だが、もう山は秋の風が吹いてるね、きっと。
 定年退職したカミさんが市民劇団の演劇公演に出演することになり、毎日夜遅く帰って来る日々が続いている。そのため、こちらの食事もすっかり不規則で、でたらめになってしまった。好きなものを買って食べ、食べたい料理をたらふく作り、夜の散歩やストレッチもやったり、やらなかったり……逆に言えば、ふだんは本当に判で押したような規則正しい生活や食事をしていることに、あらためて驚いている昨今である。
 今回から愛読者に出しているDM通信のWEB版を出すことにした。いま準備中なのだが、相手が開けなかったり、容量が重くなって迷惑のかかるようなものは作れないので、フォーマット作りに苦心している。私自身は紙でもらう通信がうれしいし、紙に編集するのは苦ではない。しかし、「(通信は)メルマガにして欲しい」「HPをみるから資源のムダ使いである紙の通信はやめたら」といった愛読者からのアドバイスがたくさんあるのも事実だ。これも時代の流れだろう。また近いうちにHPの大幅なリニューアルも考えている。
 地方の出版社はもう地元書店を当てにすることが不可能だ。書店を当てにせず本を売る算段をしなければならない局面に2年ほど前から立たされている。いずれは大都市も似た様な出版流通の壁に突き当たることになると思うのだが、私たちは一周遅れのランナーではなく、出版流通の困難なトラックを走っているトップランナーといえるのかもしれない。本屋がなくても出版社は生き延びられるか、という大きなテーマと向かい合いながら、この細くて小さな道を歩いていくしかない。
 9月はめずらしく結婚式とか出版パーティーとか、明るいセレモニーの予定が入っている。新刊も4点ぐらいが刊行される。山は単独行が増えそうだが、体調が万全ではないので、マイペースが一番だ。秋田市内や仙台の巨大書店への販促と常備品の整備、観光地へ販促活動など、ここ数年まったく手をつけられなかった営業分野の仕事も今月から積極的に着手する予定だ。しんどいけど、前に進むしかない。
(あ)

No.412

こっちにお入り(祥伝社)
平安寿子

 このところ落語関係の本を読む機会がふえたなあ。「赤めだか」の立川談春とその師匠の談志の本、本よりも映画が面白かった(私には)「しゃべれども、しゃべれども」、中野翠の入門書もあったなあ。本書は私の好きな平安寿子の書いた落語小説である。といっても本物の寄席や落語家は登場しない。ある地方都市のカルチャーセンターの素人落語教室が舞台である。著者の住んでいる広島の実在の落語教室に材をとったものなので、そのため濃いリアリティを感じる。落語の定席は東京や大阪にしかない、と言う地域特殊性を逆手に取った設定といっていいだろう。若い女性が落語に挑戦、舞台に上がって噺を披露できるようになるまでの物語で、そこは平ワールド全開なのだが、物語の伏線に、かなりマニアックなプロの落語家論がしのびこませてある。テキストにするためDVDやテープを聴く主人公らのモノローグとして展開されるプロ落語家の「伝説や評価」である。これがまあすごい。志ん生や小さん、文楽に桂枝雀の芸の本質がことこまかく記載されている。著者自身のマニア振りが伝わってくる。幕間(各章)には、その章に出てきた落語の専門用語や落語家の解説が加えられている。これも小説には珍しい。落語の基礎知識はこの幕間でじゅうぶん身につく。

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