Vol.428 08年11月29日 週刊あんばい一本勝負 No.424


月末・現首相・エアロビクス

もう月末ですか、早いですねぇ、
月日の経つのは。天気の悪い日が続いていて、外に出る機会が少ないのですが、週末は意識して外に出るようにしています。事務所で仕事をしていると静か過ぎてドンドン気持ちが落ち込んでいくから。
先週の3連休は仕事もあったのですが、仙台、盛岡を2泊3日で回ってきました。盛岡では半日街をぶらついたのですが、発見がたくさんありました。東北で一番ウチの本が売れるのが岩手県です。その秘密を探る、という下心もあったのですが、なるほど……ま、これは限られた紙枚では、うまく説明できそうもないので後日ということで。
時事的なことや政治的な話題はできるだけ「避け」てきたのですが、とにかく現首相なる人物の「程度の低さ」には、さすがに、物言いたくもなります。これまでもひどい政治家や実業家は何人も見てきたのですが、これほどひどいトップというのは、ちょっと信じがたい、というか救い難い印象ですね。例の漢字の読み違い(というより読めなかった)問題にしても、しょせん漫画しか読んだことがないのだから、しょうがないなぁ、ぐらいの感じでした。そのこと事態を責める気持ちがなかったのは、たぶん自分も似たようなものだからです。が、その後、定例記者会見で現首相は突然5つの四文字熟語を書いた紙を記者の前に見せ、記者に「これを読んでみろ!」と逆切れしたのだそうです。そのときの四文字熟語というのが「不倶戴天」「珍味佳肴」「象箸玉杯」「伏竜鳳雛」「宥丞恕誼」の5つ。「どうだ、お前らだって読めないじゃないか」と記者に語気荒めたといいます。このブログを読んで「こりゃ本物のアホかも」と思ってしまいました。ちなみに前2つは常識の範囲ですが、後の3つは私自身辞書で1時間以上調べて、ようやく読み方がわかりました。「そうちょぎょくはい」「ふくりゅうほうすう」「ゆうじょうしょぎ」って読むそうですが、こんなものを読めるほうがヘン。これを問題にする常識のなさのほうが、ずっと問題です。すくなくとも「みぞうゆうのふしゅうがはんざつにする」なんていうのとレベルが違うことを、まるでわかっていないのが、すごいですね。
月末近くなって、なぜか自分でもよくわからないのですが、近所のスポーツクラブ通いを復活させました。山行が冬になると少なくなるし、仕事が一段落したことも理由のひとつです。山登りというのは麻薬的な爽快感があるのですが、それを味わう機会が少なくなっています。その代償行為としてフィットネス(エアロビクス)にすがっているのかもしれません。登山と違ってエアロビクスは短時間のエクササイズですが、達成感や爽快感は登山のそれと似ています。
(あ)

No.424

沖縄 だれにも書かれたくなかった戦後史
(集英社)
佐野眞一

 いやはや、よくも書いたり650ページ、という大冊。登場人物もヤクザからスパイ、密貿易者に軍用地主、芸能ゴロにパワーエリート、ほとんど佐野ワールド全開。とっておきの沖縄裏面史である。日本が軍事防衛問題をアメリカに任せっぱなしにして経済分野に一意専心できたのは、高度経済成長の「反対給付の人身御供」として沖縄をアメリカに差し出したから、というのが著者の視点というかルポの原点になっている。「還暦」を過ぎた戦後日本を検証する上で、絶対に避けて通れない大きな宿題として沖縄をとらえている著者の視点は過激で苛烈。その背後には筑紫哲也や大江健三郎によって描かれた「純粋無垢な聖者・沖縄人」への強烈な反発がある。沖縄県民を聖者化することは彼らを愚弄することと同義、と著者は言う。沖縄アンダーグラウンドの世界を、飽かせずグイグイと読ませる著者の力量には驚嘆するが、沖縄の人たちは本書をどのように読むのだろうか、興味深い。実は、このところたてつづけに沖縄と縁がある。市内に沖縄そばを食べさせる居酒屋ができたし、最近出版の仕事をはじめた盛岡の友人は、盛岡に来る前は沖縄で暮らしていたという。

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