Vol.438 09年2月7日 週刊あんばい一本勝負 No.433


山形・会津若松へ週末小旅行

 もう2月か。いやはや「おめでとうございます」もはるか彼方へ、ですね。とにかく月日の経つのが早い。早すぎる。週末に雪山に登ったり、電車で小さな旅行して、月曜日から張り切って仕事をする。ふと気がつくと金曜日。この週刊日誌を書かなければならない。火曜から木曜までの記憶が一気に飛んでいる。いやはや、いやはや。
 何年ぶりかで週末は山形市へ。出版の仕事をはじめた頃から印刷所が山形市にあったので毎月のように出張していたのだが、20年ほど前、秋田支社ができたため来る事がめったになくなった。そのかわり庄内地方(酒田や鶴岡)にはよく出かけるようになったのだが(高速道が出来てすぐ行ける)。
 今回の山形行きは、その印刷所の元常務が入院したためのお見舞い。市街からかなり離れた場所にある県立病院まで往復ともバス。夜はTVドキュメンタリー「ナオキ」の、ご本人と待ち合わせ。撮影ロケ地になった市内の酒場をハシゴする。ホテルに帰ったら3時を回っていた。久しぶりの痛飲。
 翌朝は会津若松へ。このところずっと幕末や戊辰戦争の本を読んでいるので、楽しみだった。市内循環バスで一通り周り、街の概要を頭に入れ、駅から一人で歩き出す。途中、権現亭桐屋という蕎麦屋で酒と「水そば」。たしかに水もいいし、蕎麦もうまい。でも最後はものたらなくてけっきょくお猪口に醤油をたらし、蕎麦をつけて食べた。この蕎麦屋、ニシン類はあったが酒肴にいわゆる江戸前のものが何もない。これはもしかしたら、最後は自分らを裏切った徳川幕府に腹ふくれるものがあったせいかだろうか、なんて想像しながら酒を飲むのも楽しい。それにしてもこの街、すっかり気に入ってしまった。ある程度歴史的知識をもっていたので、多くの史跡や神社仏閣にすばやく反応できたのが、よかった。近々また来よう。
(あ)

No.433

旅する力――深夜特急ノート(新潮社)
沢木耕太郎

以前ほど魅力を感じなくなったとはいえ、さすが沢木耕太郎。一気呵成に読まされてしまった。名著「深夜特急」のメイキング・ブックだが、旅のエッセイ集としてのクオリティも高い。前半部分から後半にかけて、物書きとしてスタートする際に大きな刺激と示唆を与えられた恩人として雑誌「TBS調査情報」編集部が何度も本文に登場する。その編集部員のなかでも著者と関わりの深かった太田欣三さんは、実は小舎刊『江戸の極楽トンボ』『嘉永5年東北』の著者である(織田久はペンネーム)。私自身も確か織田さんの退職祝いに招かれ2次会3次会と付き合ったのだが、最後まで残ったメンツは太田さんと沢木さんと小生と、あと一人か二人だったことを覚えている。それにしても、沢木耕太郎という作家は、つくづく私たちの世代が産んだ大スターなんだなあ、と思う。何をやってもさまになるし、誰かの目標になり彼の著作を後追いする人があとを絶たない。文章そのものに魅力があるからだろう。謙虚で、男前な風貌も大いにその人気に関与しているのだろうが、基本的には文章の端正さ、かもし出す都会的雰囲気、といった一朝一夕に身につけられない「なにか」を纏っている人なのだろう。

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