Vol.441 09年2月28日 週刊あんばい一本勝負 No.436


自動車を換えました

 う〜ん、またしても1ヶ月が過ぎてしまった。
 1年のうちでも2月という月は、何かと「理由」のつけやすい月日だが、もう、なんにもない。アッというまに過ぎ去り、もうはるかかなたへと逝ってしまった。春のDMを中旬に出し終え、新刊増刷あわせて本を3冊出し、冬山は岩手の鞍掛山ひとつ。小旅行は日光、盛岡、仙台、弘前など2度で、還暦の年祝いでお祓いをした。奥歯の調子が悪く、いつもの歯医者にまた通いをはじめ、夜はもっぱら事務所でビデオ映画。最近は日本の現代映画から昔のフランス映画に好みの傾向がシフトしつつある。そのため近所のツタヤではコンテンツがものたらなくなり、最近はもっぱらライブドアのポスト・レンタルを利用している。
 こんな風に書き出せば、これで終わってしまうような1ヶ月間だった。
 外に出る機会が少なく、ほとんど家と事務所を往復するのみの日々だった。
少し変わったことといえば、乗っていた車が変わったことだろうか。一年ちょっと前に、長年乗り続けた(13年間)ボルボからハイブリットのシビックに買い換えた。実は車にはほとんど乗らない。だいたい外に出ないのだから当然で、車に乗るのは週末、山へ行く時に集合場所に移動するためぐらいだ。会社で仕事用に買った車なのに、遊びにしか使っていない。これじゃもったいない、ということで編集長の車と交換することにした。編集長は私とは逆で、車が仕事のメイン(武器)だ。1年間に5万キロ以上走るというから驚く。彼の車は5年目でもう30万キロ近く走っている。来年の車検まで乗るつもりだ、というので、わが役立たず新車と取り替えることにした。車なんて「乗ってナンボ」のもの。役立ててもらってこそ花も咲くというものだ。
 そんなわけで、小生の車は新車から一気に中古車になったわけだが、ま、ほとんどなんの感慨もない、というのが正直なところだ。
(あ)

No.436

ボン書店の幻(ちくま文庫)
内堀弘

 白地社という出版社から90年代初頭にこの本が出たとき、けっこう業界では話題になった。その話題につられて買ったのだが本棚に入れたまま、読まないでいたら、いつのまにか本は消えてしまった(誰かにやってしまったのだ)。なぜ読まなかったのか。推測するに「外国の本屋さんの本を読むのはしんどいなあ」と勝手に決め付け、ためらったせいだ。今回、文庫本になったカバーの裏コピーを読み、1930年代の「日本の小さな出版社の物語」であることをはじめて知り、興味がわいて速攻で読んだ。なるほど書名にまどわされず早く読んでおけばよかった、と後悔するほど面白かった。ボン書店の残した本はいまも手に入れることができるが、発行人である鳥羽茂(「いかし」と読むらしい)のことは誰もまるでわからない。ここがポイントだ。本の発行人など影の存在であり、はかなく消えていく運命にあるのだ。その発行人の生涯を丹念に調査して興味深いドキュメント作品に仕上げたのが、本書だ。たぶん著者が古書店経営者でなければ陽の目を見なかった評伝であり、作品であることは間違いない。蛇足だが、白地社版でなく文庫版を買ったのは正解のようだ。巻末に付された「文庫本のための長いあとがき」が、この本のハイライトになっている。白地社版を買った人も、文庫版の「あとがき」を読まないと損をする。

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