Vol.447 09年4月11日 週刊あんばい一本勝負 No.442


春は財布のヒモも軽くなって

 良い陽気になってきました。うれしいですね、単純に。
 今年はハードな雪山登山が3回しかなかったので、フラストレーションがあるのかもしれないが、芽ぶきのはじまったやさしい春の山が無性にいとおしく感じてしまいます。
 屋久島から帰ってきて、まだ疲れが残っているのに、翌々日には大仙市の姫神山と伊豆山に登りました。小さな低い山ですが、アップダウンがきつくて、息が上がってしまいました。屋久島では11時間歩きっぱなしでも平気だったのに、県内の山々では筋肉がパンパンに張って2,3日ヨレヨレ。

 少しは休めよ、と自分で自分に突っ込んでいるのですが、どうにもこの陽気では心と身体は勝手にバラバラ、ホイホイと外に出てしまいます。
週末以外は、おとなしく、まじめに、ちゃんと仕事はしているのですが、単調な仕事が続くと、楽しみみは近所のスーパーに食材を買いに行くことぐらいになってしまいます。気分転換ですね。
 そこからちょっと足を延ばし、家電スーパーもよくのぞくようになってしまいました。これが良くなかったんですね、結果的に。すでにデジカメはネットで買い換えしていたのですが、必要からカーナビ(これは車を編集長と交換したため)を買いました。ここから勢いがついて、デスクトップのパソコンを買い、さらにはipod用のスピーカーを買い、安い卓上加湿機を奮発してしまいました(ペットボトルのやつ)。これはもうケーズデンキに表彰されてもいいショッピング・オヤジと化してしまいました。

 パソコンはほぼ寿命だったので、ソッコーで買い換えても悔いはありませんが、他はまああってもなくても、特にいまでなくても、大丈夫なものばかりです。普段は外出することが少ないし、居酒屋へもめったに行かないし、本はネットで買うので、おカネを使う機会はないんですが、なんとなくこの春の陽気に狂わされて、財布のひもが軽くなってしまったようです。
(あ)

No.442

神田川デイズ
(角川書店)
豊島ミホ

 ある出版パーティで隣り合った老婦人が、「孫が作家なんです」と話しかけてきた。名前を聞くと豊島ミホだという。彼女は湯沢市出身で、もちろんそのことは知っていたのだが、秋田弁を駆使してユーモラスに田舎女子高生の生態を描いたエッセイ集がそれほど面白くなかったので、興味を持てないでいた。でも本業である小説も読んでから評価しないと不公平だな、と小説集である本書を買っておいたのだが、最初のエッセイ集で躓いたのが大きく、なかなかページをひも解く気にならなかった。ある日、テレビで本書の装丁を手がけた鈴木成一のドキュメンタリー(「プロフェッショナルの仕事」だっけ)をみた。装丁の具体例として、本書の装丁現場が取り上げられていた。その映像を見ていたら本を読みたくなった。読んだらバツグンに面白いではないか。帯文のキャッチコピーを流用すれば「かっこ悪くていたたまれなくて、ちょっぴり愛しい上京ボーイズ&ガールズのキャンパスライフ」を描いた連作小説集である。早稲田大学第二文学部出身なのでそこが舞台だ。作者の分身として物語を仮託された男女がくっきり眼前に現われてくる。これだけ描き分けられる能力があれば、作家としての将来が楽しみだ。

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