Vol.45 7月7日号 週刊あんばい一本勝負 No.42


倉田鉄也陶芸展

 今年もまたアトリオンで倉田鉄也さんの陶芸展が開催されました。もう何十年も個展に通って、彼の焼き物は何十点か会社で買っています。芝居でいうなら座付き作家というか、唯一経費で作品を買える、舎と関係の深い芸術家です。毎年、彼の成長ぶりや精神的な苦悩がちゃんと作品にでていて、これも「定点観測」している強みなのでしょうが、このところ着実に作品が「進化」していて喜んでいます。そもそも倉田鉄也さんとのつき合いは秋田大学時代にさかのぼり、わが舎のスタッフもほとんどなにかしらの関係を持っています。この時期の大規模展示場では個展が花盛りです。同じ会場のなかで陶器だけでも4つの個展が開かれていましたが、ひいき目でみなくてもその技量には圧倒的に差がありました。こうして比べてみられるというのも実力のある人にはいいものだな、という印象を持ったのですが、なかで一つだけ、これもこの時期の定番なのですが「ギャラリーあい」が主催する茨城の笠間焼の若手作家の作品はレベルの割に値段が安く、毎年必ず買ってしまいます。一人の作家の作品を毎年一つずつ買うと20年後には興味深いコレクションができあがります。こんな買い方も面白いでしょ。
(あ)

今回買った作品

案内葉書

「グランビア」の20周年パーティ

 日頃お世話になっている(よく飲みにいくという意味)NHK秋田支局横のスペイン料理店「グランビア」の20周年野外パーティが7月15日(日)唐松温泉特設会場である。このレストランとはかなり長いつきあいなので是非とも駆けつけたいのだが、どうにも抜けられない先約があっていけない。悔しい。しかし20年というのはあっという間。昔はよくブラジルから来た留学生の女の子たちをこの店に連れていった。家族でも何度も食事したし、無明舎の宴会もかぞえきれないほど。最近ではレストラン横にできた「バル」の止まり木で小生や鐙がしばしば一人でさびしそうに飲んでいる。パーティはいろんな趣向が凝らされていて楽しそうだ。アトラクションにはペルーのフォルクローレ・バンドの演奏があり、ワイン・ビールが飲み放題、100人分のパエリア、子羊の丸焼き、生ハムなどを用意しているというのだから生唾ものである。参加費は4000円、温泉への泊まりも可、とのこと。興味のある方は是非どうぞ。
(あ)

オーナーシェフの金子祐二さん

「秋田県の有形文化財」を落札!

 7月5日、秋田県庁で「ふるさと紀行ガイド・秋田県の有形文化財」という原稿を本にするための出版入札が行われ、小舎が落札した。最近、何度かこのコーナーでも紹介しているように、行政は財政難もあり民間にできることは民間にやってもらおう、という姿勢を強く打ち出している。これまでにも『秋田のことば』やその『CDーROM』の入札があり、それらも小舎が落札しているのだが、今回はオールカラー印刷なのでほぼ間違いなくとれる確信があった。その理由は、小舎以外の指名業者のほとんどが県内印刷関係会社で、彼らのカラー印刷技術は高いとはいえず、かつ値段も安くないことを経験上しっていたからだ。だから小舎のように他県の安い印刷所を使い慣れているところとは競争にならない、と踏んだのである。ちなみに今一番印刷値段の安い地域はどこか、答えは意外なことに東京である。製版や刷りだけに工場を特化させ、徹底的にコストダウンをはかった結果そうなったのだが、こうした工場を使いこなすにはまた別のこちら側の技術も必要なので、一概に安いから良いとはいえないところがある。それはともかく編集現場はまた忙しい仕事を背負い込んで、この夏痩せる思いをしなければならない。
(あ)

あなたの「秋田弁」がCDになる!

 「秋田のことば」CD-ROM版に収録する作品を募集しています。秋田弁で書かれた作品であればテーマや形式(エッセイ、詩、会話、シナリオ)はどんなものでもかまいません。懐かしいお祭りの話や、子供のころの思い出話、農作業風景や村自慢などを、800字程度で秋田県教育庁文化財保護室(秋田市山王3丁目1−1 рO18−860−5194)まで。締め切りは今年の10月末です。原稿募集の詳細については秋田県のホームページでもごらんいただけます。
(あ)

シナリオ募集のパンフ

No.42

最相葉月(中央公論社)
なんといふ空

  彼女の『絶対音感』は難解だったけど面白かった。とくに五島みどりが、世界各国の演奏者にヴァイオリンで同じ曲を弾いてもらい、それを目隠しで「どこの国の人が弾いたか」を100パーセント当てることが出来る、というエピソードには驚愕した。最新作『青いバラ』も読みたいのだが、すこし難解そうなので同時に出た本書を選んだ。しかしエッセイとはいいながら、この人の『物語る』能力はかなりレベルが高く密度が濃い。短編小説を読むような味わいがある。いずれはフィクションの世界にシフトしていく人のような気がする。こうした人に共通するのだが作品が少ない。寡作なのである。離婚をしたり競輪のライターをしたり、その過去もエッセイから窺い知ることが出来るのだが、ひとつの作品を書くのに3年も4年もかけるノンフィクション作家が一番危惧するのが生活である。彼女は『絶対音感』のベストセラーやこのエッセイの映画化(真中瞳主演「ココニイルコト」)などで生活に困ることはないようだ。人様の財布の心配をしてもしょうがないが。

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