Vol.494 10年3月27日 週刊あんばい一本勝負 No.488


あわただしい1週間でした

なんだか、落ち着かない、あわただしい1週間だった。
先週末から長野へ。友人の出版社が閉じることになり東京の取次社長と2人、彼を励ます会に出かけた。出かける朝、長野で送迎をしてくださる友人から電話。「もう出かけたと思ったけど、大事な連絡があり舎員の人に伝えようと思って」。昔なら、長野まで出かけると言えば2日がかりの大旅行、今は朝10時の飛行機で東京に飛び新幹線に乗り継げば午後4時前には長野に着く。飛行場までは15分なので楽勝なのだ。

励ます会には地元の新聞社の偉い方なども駆けつけ、小人数ながらもいい会だった。翌日は長野近郊にある飯綱山(1917m)に友人と2人で登った。快晴で、雪も締まり、スノーシューなしのツボ足で一挙に頂上へ。3時間半でピークへ達したが頂上は無風で暑いほど。2千m級の頂上が寒くない、というのは初めての経験だ。下山後は温泉、そして友人夫婦とホテル内の居酒屋で一献。信州の山は憧れだったが初心者には遠い存在。一生、北アルプスとは縁がないと思っていたのだが、山頂から黄砂に煙る北アルプスの雄姿をみたら、「近いうちに来よう」などと不遜にも思ってしまった。悪い予感がする。

3連休はそんなわけで長野。帰ってくると仕事が山済み。「ミラクルガール」の増刷やダイレクトメールの注文発送、企画営業部門の年度末請求事務などが重なって舎内はバタバタ。とくに経理事務の女性舎員は連日真夜中まで仕事をしている(ようだ)。仕事を終えて家に帰っても、まだ誰かが事務所で仕事をしていると思えば、緊張は続いたまま。連休中もみんなは出勤して仕事をしていたようだ。

顔に長野の山での日焼けをクッキリ残しながら今度は仙台へ。週末前のひと仕事。NHKラジオで番組を持っている伊奈かっぺいさんの30分トーク番組に出させてもらう。収録は仙台だが放送は全国なのだそうだ。新幹線の往復はグリーン車、駅から局への移動はもちろんタクシー券。こんなことができるのはNHKぐらいかもネ、このご時世では。
かっペイさんとお会いしたのは20年ぶりくらいか。若いころはよく一緒に遊んだのだが。「でも、むかし話は今日はやめようね」と打ち合わせてスタジオへ。

何ともあわただしい1週間。自分のデスクに帰ってきて座るとどっと疲れが出て、仕事をする前に眠りこけてしまったほど。やっぱり自分はインドア派なんだね本質は。しばらく事務所にこもって仕事をする日々になりそうだ。
(あ)

No.487

超積乱雲――アマゾン日本人移民の昭和史
(無明舎出版)
醍醐麻沙夫

 このコーナーで自舎本を紹介するのは、長い連載の中でもたぶんで片手で数えられるほどしかないと思う。意識して自舎本を避けているわけでない。目に見えないが、趣味と仕事の境界線が、その間に介在するためだろう。先日、15年ぶりにアマゾンを訪れた。ピメンタ(胡椒)栽培で一時期ブラジルの「移民天国」とまで言われた激動の歴史を持つ日本人移民村トメアス―が目的地だ。いつか自分でも「トメアス―紀行」のようなものを書きたいと思っているのだ。この村を舞台にした作品には、前々回紹介した角田房子『アマゾンの歌』がある。これはテレビドラマ化までされた名作だが、この作品以後、アマゾンをテーマにした作品で歴史に残るようなものは、寡聞にして知らない。だから角田作品はバイブルのようなものなのだが、なにせ古い本だ。この欠陥を埋めたのが2008年に出た本書……とほめてしまえば「身びいき」になる。このへんが自舎本をとりあげにくい理由、である。今回のブラジル・アマゾン旅行には本書を携帯した。機内や宿で、ずっとこの本を読んでいた。角田さんの本と違うのは、著者自身がサンパウロ在住の移民作家、という点だろう。ブラジルや移民に対する基本知識の豊かさに、まずは圧倒される。

このページの初めに戻る↑


backnumber
●vol.490 2月27日号  ●vol.491 3月6日号  ●vol.492 3月13日号  ●vol.493 3月20日号 
上記以前の号はアドレス欄のURLの数字部分を直接ご変更下さい。

Topへ