Vol.52 8月25日号 週刊あんばい一本勝負 No.49


町は外人だらけ

 久しぶりに駅前繁華街(笑い)に出かけた。すれ違う人の半分が外国人で驚いた。ワールドゲームズ恐るべし、というところか。しかし、スポーツマンといえば普通、若くて筋骨たくましく、男女とも見栄えのする人が多いのだが、さすがWG、輪投げや玉突きのようなゲームが多いからか、その手の先入観は木っ端微塵に砕かれ、見事なプロポーションをした外人男女はほとんど見かけない。「それって観客の外人じゃないの?」という人もいたが、実は選手以外の観客はほとんど来日していないらしい。このへんもさすがWGで、なんだか悲しくなってくる。川反を3、4人の筋骨隆々の男が上半身裸で歩いている光景にも出くわした。一瞬たじろいでしまったが、ま、ニースの避暑地にでも来た気分なのだろう。どう贔屓目に見ても旅なれたふうでもないイモ兄ちゃんたちだった。それにしても収支決算は大丈夫なのだろうか。極力お金を使わない大会運営をしたと言うものの、最後は税金で尻拭いをされるのではたまったものではない。もっと悪いのは赤字のくせに「大成功だった」とウソをつくことだが、世界中の国からどこもエントリーがなく秋田だけが挙手して決まったいうシロモノである。なにがあっても不思議ではない。
(あ)

町は外国人だらけ

中学生の課外授業

 横手南中学の4人の女子中学生が台風11号騒ぎの真っ只中に来舎。地域総合学習で「ババヘラアイス」を調べていて、先生のアドバイスで何度かそのことを原稿にしたり喋ったりしている小生に白羽の矢が立ったらしい。4人の小さな取材記者たちは事前に質問事項をちゃんとメモしてきて、応対の歯切れもいいし、大人と接する態度も立派で、好感を持てた。東京あたりのすれた、奇抜な格好をすることでしか自己主張できない女子中学生など、ほんの一部でしかないという希望を持たせてくれる少女たちであった。一通り小生の「ババヘラアイス沖縄発生説」を説き、そのあと彼女たちから質問を受けた。「売り子のおばあさんはトイレはどうしているの?」「給料はどれくらい?」「虹やブルー模様のアイスがあるという噂がある外人から流れているが本当にあるの?」……といったレベルの高いもので、小生はほとんど答えられなかった。うーん、これはちゃんと調べて本にでもするしかないな、と言ったら「1000円以内ならかならず買いますから本にしてください」という。よしっ、この中学生を信じて本にしてみるか。
(あ)

4人の女子中学生

「雑草」の本を出します

 岩手県に住む小崎順子さんという方の雑草のガイドや食べ方をオールカラーで紹介する『雑草レシピ元気読本』という本を9月末ごろに刊行する予定です。これだけならわざわざこの欄でお知らせすることもないのですが、実はこの本、3年前に東京の双葉社から『雑草で元気になる本』として刊行されたものの改題再出版なのです。双葉社版は1600円で初版はほとんど売り切ったものの増刷にはいたらず市場から消え、そのままになっていたものである。双葉社から編集を請け負ったKさんから、「このまま版が切れてしまうのは忍びない」という連絡をもらい、「東北ではまだまだ普及する可能性がある」と踏んで1200円の定価でリニューアル出版の決定をしたものなのです。たぶん、こうしたケースの出版がこれから増えていくだろうと思います。そういった将来を見据えての実験的刊行なのですが、これが成功するか失敗するか、小舎ではけっこうナーバスになっています。
(あ)

双葉社版と無明舎版

桧山納豆ができるまで

 ドリナビの取材で出かけた能代市桧山で、桧山納豆の工場を見学してきました。 納豆づくりの工程は、大豆を茹でて納豆菌をかけて発酵させるだけ、といたってシンプル。この日作っていたのはひきわり納豆で、驚いたのは、ひきわりの場合大豆を割ってから茹でるということです。どちらが先でもいいと思うかもしれませんが、茹でてから割るのと、割った大豆を茹でるのでは、後者のほうが茹で加減が難しそうなイメージがあったからです。この日作った納豆は2,3日後に出荷されて店頭に並びます。取材のお土産にもらった納豆は、桧山納豆独特のシワがあって納豆の匂いが少なく、食べると歯ごたえがありました。これが昔ながらの納豆なんだな、と感心しました。さすが、秋田音頭に唄われるだけのことはあります。
(富)

ショーウィンドーに並ぶ桧山納豆

No.49

安西知津江(文春文庫)
私は指をつめた女

 散歩の途中に寄る本屋になぜか「極道をやめてクリスチャンになった」人たちの本が何種類か平積になっている。興味をおぼえて読んでみたが正直なところそれほど面白くはなかった。聖職者というあるべき姿に破天荒なヤクザな生き方が収斂されていく「物語の構造」を予想できるせいかとも思うのだが、その嚆矢ともいえる弁護士になった大平さんの本も読んでいないので、どこが魅力なのかはよくわからない。本書はもう10年以上も前に書かれた本だが、ヤクザ更生本ブームにのって文庫化されたもののようである。ひょんなことからヤクザの親分の妻になり3度も指をつめ、男と不倫を繰り返す女性の半生をライター(青目海)が聞き書きしたもので、プロのライターの手が入っているぶん構成もしっかりしているし、読みあきしない工夫が凝らされている。この本が面白いのは主人公自身が自分の行動を心底反省している気配がなく、そこを棚に上げて他者を徹底的に批判的に見ていることである。この身勝手さが物語を無類に面白くしている。なるほど、面白さのキーワードは「身勝手」なのである。

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