Vol.524 10年11月13日 週刊あんばい一本勝負 No.518


遅れ気味ですみません

このところ「週刊ニュース」の更新が遅れがちだ。前はこんなことなかったになあ。週末にでかけることが多くなったことが直接の原因だが、以前は金曜日にはこの原稿を書いていたから週末とは関係ないか。金曜日までバタバタいろんな雑用に追いまくられているだけである。

毎朝、決まった時間に起きる。なんとなくやる気の起きない朝もあれば、もう1時間寝ていたいなあ、と思う朝もある。快晴の朝はどこかへ仕事をさぼって出かけたくなるし、曇天の暗い朝は天気と同じように気分も落ち込んでしまう。そんなときはいつも「この年になって大病もせずに仕事ができることを感謝しよう」と自分を鼓舞して、布団を跳ね上げる。

仕事場がすぐ住居の隣にある職住接近である。さぼっても誰にも怒られないワンマン自営業である。でも、これがさぼらないし、自由だからなのか、自由に振る舞えない。不思議と40年近くズル休みなどする気が起きないまま、今に至っている。自営業というのは、けっきょくそういうことなのだ。

でも、これではいけない。何らかの事情やアクシデントで仕事が「消えてしまった」ら、もうほとんど「抜け殻」だ。できるだけ週末は仕事を離れたほうがいい。と週末は山歩きや小さな旅に出る。これを意識的に習慣化しようと試みた訳である。今のところ、この試みは成功しているような気もするのだが、土日をオフにしたせいで、仕事のしわ寄せはどうしてもウイークデーになる。

なんだか長いいい訳じみてきたが、やっぱり仕事はヒマより忙しいほうがいい。いいアイデアはまちがいなく忙しい時に思いつく。忙しさを担保できるのは健康、足腰の強さ、なのだ。わずか数人でも週刊ニュースを読んでくださる人たちのために、なんだかどうでもいいことをウダウダと書き連ねてしまいました。
(あ)

No.518

鉄槌!
(角川文庫)
いしかわじゅん
2000年に単行本になり、その10年後に文庫本になった。単行本の時、読んだような気がしていたのだが、文庫版を読んであまりのおもしろさに、はてこれは「未読」なのかも。こんな面白いのに老化が進んでいるといって内容を覚えていないのはおかしい。たぶん未読なのだ。厳寒の山中でスキーバスに取り残され、死ぬ思いをしたことを後日、漫画入り文章で書いたら、「会社の名誉を棄損された」とバス会社から逆に告訴されてしまったマンガ家の闘いの記録である。ミステリー小説のようであり、どんでん返し連発のドタバタ・ノンフィクションであり、まじめな組織対個人のガチンコ・バトル物語としても読める。どんな悲劇的な局面でも細部にユーモアを漂わせた、極上の読物フルコース、と最上級の讃辞をささげたくなる、おもしろ本でもある。特筆すべき特徴が本書にある。ひとつは実体のつかめない弁護士の仕事にはっきりと「こいつらかなり日本語能力に問題ある」と警鐘を鳴らしていること。物語の「核」として「偽証人」なる人物の登場が効果的に使われているのだが、単行本では「和解」という結末のため、この偽証人への言及は避けられている。が文庫化にあたり、この偽証人への突撃取材を行っている。このくだりは本当にハラハラドキドキ、心臓の音が早なる。

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