Vol.557 11年7月16日 週刊あんばい一本勝負 No.551


地震日記18 ほぼ限界の仕事量

7月9日(土) 土曜日だが朝から動き回って落ち着かない。山がない土曜日は雑用三昧。雑用も嫌いではないのだが、それにしてもなあ、還暦を過ぎたオヤジがどうしてこうも忙しく働かなければならんのか。好きでやっていることとはいえ、時には納得がいかず、勝手に落ち込んだりする。午後からは友人の誘いで「陶芸教室」の見学。公共のカルチャースクールのせいか、教室のきれいさにまずびっくり。陶芸って泥だらけの汚い所でやるものだという先入観があったから、びっくり。先週から仕事は一挙に混みだした。そんなときに限って運悪く印刷所のオヤジが検査入院。暗澹たる気持ちになったが、念のため、件の印刷オヤジの症状を聞こうと会社に電話すると、何と本人が電話に出るではないか、土曜なのに。退院後、ただちに出社に及んだとのこと。いやはや、いずこもよく働く。でも大病でなくて、よかったね。

7月10日(日) 森吉山登山。友人と2人の気楽な花見物。もう20種類以上の花の名前を覚えたので、ちょっぴり「やみつき」状態。ロープウエイでスキー場まで行き、そこからのんびり山頂までお散歩。山頂は観光客で満杯、昼飯はそこから下り、山人平のお花畑でゆっくりと。来週の鳥海山登山(小生クラスの初心者には最高難易度の山)の訓練の意味もありザックも靴も高山用のものを持っていった。これが後に思わぬ失態を招くことになる。朝は曇り空でガスっていたが、午後からは快晴。実はあまり好きな山ではなかったのだが今回ですっかり好きになった。花の名前に敏感になったからだろう。以前は花に興味がなかったから、山の魅力がわからなかっただけ。後日、同じ日同じ時刻に山頂にいたという友人に、「クマにあったでしょ」と言われた。どうやらクマが出没していたらしい。

7月11日(月) 朝から好天。いま昼だが眠い。実は昨日、山頂付近で車のキーをなくしてしまった。新しいザックのポケットの構造がわからず、ザックを横にしたとき、キーがこぼれおちたようだ。友人と二人で内陸線、奥羽線を乗り継ぎ、どうにか帰ってきたのだが、山歩きの一番の楽しみである温泉とビールはオアズケ。悔しい。そして今朝は五時起き。友人の好意で彼の車に分乗し再び森吉へ。合鍵を持って車をとって帰ってきたのだ。朝9時に来客の予定があり、どうやらぎりぎりでセーフ。数分遅れだったが間に合った。というわけで、眠い。でも仕事はぎっしり詰まっている。

7月12日(火) 日曜日の「森吉山車キー紛失事件」の続報。そんなわけで月曜早朝にスペアーキーで車を持ち帰ってきたのですが、車を出してくれた友人はそのまま2日連続で森吉登山。週日にもかかわらず山は人でいっぱいだったそうです。さすが日本の花百名山。そして前日、昼食を取った場所を念のため探したら、なんと小生の車キーはそのまま残っていたそうです。いやぁ、うれしい。やはり新しいザックから昼食のときこぼれおちてしまっていたようだ。今度奥さんともどもメシおごります。スペアーをつくる2万円が浮いただけでなく後味の悪さまで払しょくできました。メシぐらい安いもんです。

7月13日(水) 本に鉛筆で下線を引くクセがある。消しゴムで消える鉛筆を使うのは読み終わった後「古本屋に売るつもり」だったから。古本屋に売らなくなった今も本と一緒に鉛筆は持ち歩く。が、なくすし忘れるし邪魔くさい。最近クリップペンシンという優れモノを発見、一挙に悩みは解消した。薄い安い小さいの3拍子揃った1本7円の使い捨てペンを、200本大人買い。「それってゴルファーがスコア―付けるときのペンでしょ」と友人に言われたが、そうなの? ゴルフをしたことがないので知らない。

7月14日(木) 今週に入ってずっと暑い日が続いている。西日対策はどうにか新窓設置で功を奏しているから、あとはこまめに水分補給。汗っかきなので特に山登りの最中は身体の水分をダダ漏れさせている。塩熱飴をなめながら2リットル近くの水を摂るのだから、すごいでしょ。さらに脱水症状の予感があれば最近は即OS−1(オーエスワン)という経口補水液のお世話になる。病院などで使うものだが、ツルハあたりでも市販している。ボトル1本200円、身近にこれがあると何となく安心。味はほのかに甘しょっぱい水。でもスポーツドリンクほどきつくない。夏はこれ1本!

7月15日(金) ようやく週末までたどり着いた。長かったなあ。週初めの森吉山カギ紛失騒動からはじまり、毎日のように来客打ち合わせ、ゲラの入稿や校了が続いた。いま進行中の本は15本! ほぼ力量の限界点だ。毎日打ち合わせ予定があった週というのも珍しい。こんなときに限って原稿〆切(書評や新聞コラム)も重なる。忙しついでにこれらも片付けてしまった。勢いあるなあ、ジブン。明日、1年で最も大きな山行・鳥海山登山がある。精神的負担になる雑事(?)はかたをつけてから登りたいのだ。
(あ)

No.551

電子書籍を日本一売ってみたけれど、やっぱり紙の本が好き。
(講談社)
日垣隆

「電子書籍」とつくと買ってしまう。悪い癖だが、どうしようもない。気になるというよりも興味本位である。まるで実体のない放射能のようなものを社会にどうとらえているのか、ビジネス・イメージがまったく浮かんでこない「空気感」の正体が知りたい、といったらいいだろうか。去年だか今年だかもう失念してしまったが「電子書籍元年」とかまびすしくいわれた。2011年までには大手の出版社は無論、テレビ局や新聞社は危機にひんし悪ければ絶滅、とまで断定する類の本が複数出た。覚えておられるだろうか。その手の本は07年ごろから出始め、いま、その11年。状況はなにも変わっていない。少なくとも表面上は。あいもかわらずメディアはしぶとく生き伸び、紙の本もダメながら電子本にとって代わられてはいない。11年までにはメディアは崩壊、と予言した著者たちは頭を丸めてほしいものだ。ITメディア評論家の「危機あおり」論者たちも何事もなかったように、生き残っているようだ。本書はそうした危機感あおり評論家言論人に皮肉たっぷりの毒矢を放っている。過激な物言いはこの著者の「芸」のひとつだから、目くじら立てるほどではないが、佐々木ナントカさんにはぜひ読んでほしい本だ。この著者もスタンスを変えず、過激な言論の先頭で生き残ってもらいたい。

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