Vol.613 12年8月18日 週刊あんばい一本勝負 No606


お盆はダラダラ過ぎていきます

8月11日 試しにコボタッチ(電子書籍端末)を市内の家電チェーン何店かに見に行ったが、どこにも売っていなかった。それはいいのだが、「はッ、なんですか、それ?」という反応がほとんどだったのには驚いた。恐るべし秋田。よく訓練された家電店員にしてこうなのだから、楽天の野望の道は遠いのかも。今日は仙台に行く予定。コボタッチを観て(買うかも)くるつもりだが、仙台でも「はッ?」なんていわれないだろうな。ネットで買うのが一番早いのだが、こうしたものはやはり手にとって説明を聴きながら手に入れたい。どんな売れ方、売り方をしているのか見たいのだ。それにしても、このコボタッチの件ひとつとっても、東京と地方の格差は目に見えにくいところでどんどん広がっているように感じる。

8月13日 仙台の家電量販店でコボタッチを買う。当たり前のように山と積んであった。秋田の反動で買わないと悪いような気になってしまった。大人買いである。今回の仙台行きで運がよかったのはインカ帝国展が仙台市博物館で開催中だったこと。知らなかったなあ。東京まで見に行こうと思っていた展示だったので渡りに船だ。でも展示は良くない。リマの天野博物館(個人蔵)のほうがずっと迫力がある。マチュピチュの「発見100年」がテーマだが、それもほとんどインパクトはなし。本を読んでるほうが為になる。現地に行っても観光ガイドはスペイン語と英語だけ。そのため日本展示に期待していたのだが、これはちょっとガッカリだなあ。

8月14日 お盆である。にもかわらず事務所に垂れこめ、どこへも出かけず仕事をしている。いや半分仕事、半分オアソビといったところか。オアソビというのは仕事場でダラダラ本を読んだりDVD映画を観たりすること。そんなの家でやれよ、といわれそうだが、家では主人が別、使用人は何かと居心地が悪い。自由勝手にふるまえるのは「ここ」しかない。それにしても電話もメールもほとんどない。これだけでもストレス半減、リラックス空間だが、3日も続くと世間から忘れられかけているのでは、と不安が頭をもたげてくる。大型の休みはいつもこの繰り返し。年なんだからいい加減に学習しろよ、ジブン。

8月15日 なんとなく長年の体感があり、お盆過ぎあたりから「秋風」を感じることができる。今年は立秋の日あたりから劇的に「肌寒さ」を実感した。これは例年より1週間は早い。寒さが早めにやってきそうな予感。といっても小生の実感は「早朝」の一時から切り取ったもの。日中はほとんど冷房のきいた事務所でダラダラしているから、世間の猛暑の実感がまったくないだけの話だ。気楽なもん。お盆中にやることは早めに締め切りのある(新聞)原稿を書いてしまうこと。今週末からの夏休み山行のための準備をすること。その留守の間の仕事の段取りを整理しておくこと。でもなあ、年々外に出るのがおっくうになる。これはもうどうしようもない。

8月16日 まだお盆休み中なのだが、今日は秋DMの発送日だ。みんな出舎しなければならない。ひとりの舎員は鳥海山・稲倉山荘まで納品出張だ。ごくろうさん。書店よりもこうした山荘で本がよく売れる。そのための追加納品だ。売れ時がお盆だからだ。標高の高い場所なので宅配便は行ってくれない。さらにシーズンだけの営業だから直接納品に行くしかない。山道を3時間かけ(ということは往復6時間)納品、売り上げはシーズン最終日に清算される。この仕事を始めたころは、こうして毎月全県の書店をくまなくまわって集金して歩いたものだ。あんなこと、もう絶対できないなあ。あの頃には戻りたくない。

8月17日 今日から仕事だ。そして私メは逆に今日から夏休みをもらい、八ヶ岳周辺をブラブラしてくる予定。去年の夏休みは白馬周辺ブラブラ旅で、味をしめての長野行きだ。山形や大阪の友人たち4人の旅。昨日からその旅の準備でけっこう汗をかいてしまった。年々衰えていく体力を、何でどのようにカバーするか、少し長めの旅行に出ると、いつも考えてしまうようになった。
(あ)

No.606

放送禁止歌手 山平和彦の生涯
(河出書房新社)
和久井光司

フォーク歌手・山平和彦とは面識がある。お互い若い20代のことだ。紹介者は彼の恩師である美術の高校教師。生意気な男だな、というのが第一印象だった。彼のコンサートも1,2回主催した覚えがあるのだが、どんな歌を歌っているのか、実は今もって知らない。本書を読み、彼が有名になるきっかけが「放送禁止」という「事故」のためであることがわかった。秋田での活動期間は本当に短かく、この放送禁止の事件で彼は岐阜に居を移し(ラジオの仕事が入ったため)た。どうりで、秋田での印象が薄いわけだ。著者は山平を、これ以上ないほどの愛情を持って記述している。生の彼と会ったわけことはない。そのためか、どことなく確信が持てない揺らぎが、文章全体を覆っている。同世代の表現者として彼には魅力はなかった、と私は思っている。ミーハーでアイドルっぽい路線の歌手だったし、本人もそちらの路線を希望していたのではないのか。彼と会っても何も感じなかったのは、当時すでに私は「友川かずき」という類まれなる強烈なキャラクターをもつ歌手と関係を深め、彼の個人事務所というかプロヂュースをしていた。だから本書で逆に彼の知られざる事実を初めて知った。

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