Vol.619 12年9月29日 | ![]() |
夏バテがまだ尾を引いている | |
9月23日 日曜日はうすぐもり。このところ調子の悪い小生と同じく、足の故障に泣いているA先輩と太平山へ。リベンジの健康再祈願登山である。太平山はご近所の山だが、登り3時間、下り2時間半の侮れない1200mの山。秋田市の人はトップクライマーも私たちのような初心者も、この山で遊び、トレーニングする。久しぶりの太平山だったが、驚いたのは若い山ガール達をけっこう見かけたこと。信州の山ではよく見かけるが秋田の山はジジババ・ハイカーの天下だ。なんかちょっと太平山が華やいで見えた。下山後は踏破祝いに山王歓楽街に。A先輩は「この踏破を家族としみじみ味わいたい」と珍しくキャンセル。おかげで雨にたたられた。 9月24日 日曜の毎日新聞一面38の広告はメールや電話注文もほとんどなし。想定内だが全国の書店にどれくらいの注文が入っているのか、結果が分かるまで数日かかる。明後日火曜日は河北新報全3広告。これも大きな期待はしていない。それでも、これからの本の売れ行きや書店動向を知るうえで反応は重要なデータになる。それにしても昔に比べて新聞広告や書評に対するレスポンスがめっきり遅くなった。出たとたん反応があるのは珍しく、1か月も経ってからゆっくり本は動きはじめたりする。国際情勢や経済はものすごいスペードで変化を続けているのに、本の世界は時代に取り残された遺跡のような、スローモーな感じだ。ま、それもまた情緒があっていいか。なんだか唐突だが、日本からプロの作家(物書き)という人種が消えるのは、案外早いのかもしれないなあ。どう考えても初版部数を想像すると、それで生活するというのは無理だ。 9月25日 年に1回、衝動的に身の回りの「モノ」を徹底的に処分したくなる。今がその時だ。暮らしのぜい肉をそげ落としたい。本や衣類、溜めてばかりで使わないグッズに文房具……この欲求は何に由来するものなのだろうか。自分では「心身ダイエット症候群」と勝手に名付けている。新陳代謝が悪くなり昔ほど暴飲暴食はしないのに体重はちっとも減らない。その腹いせ? なのかな。 罪のない身の回りの「モノ」に八つ当たりしているだけかも。幸い、本の処分先は決まりそうだ。問題は衣類。安物買いの銭失いで着ない衣類はたまるばかり。でもゴミにするのはいや。体重を減らすように暮らしの「ぜい肉」をそげ落として、心身とも身軽になりたい。 9月26日 ずっとこのところ「ひきこもり」の生活が続いている。仕事や個人的な事情などではなく、なんとなく、だ。仕事場や寝室にいるのが一番落ち着く、といえばカッコいいが、外に出たくない、というのが本音。外用に気持や外見を立て直さなければいけないのが、とにかく面倒くさい。幸いに雨。大音量でビートルズの「ラバーソウル」を聴きながら、繰り返し南伸坊『本人伝説』をみて笑っている。考えるのは「料理がうまくなりたい」ということ。もう私は老後モードに入っているのだろうか。美味しいものを食べたい、という欲求があるうちはまだ大丈夫のような気もするのだが。 9月27日 「何とか元年」といういい方がある。「電子書籍元年」というのはもう何年間も使い古され狼少年の域に達している。「元年」は知らぬ間に始まり、あっという間に終わる。たとえば過去のネット書店の隆盛はほとんど目に見えない形で進行した。その陰で地方の書店はバタバタと潰れていった。こうしたことを常に同時セットでみる複眼的な視点がないと、現象の核心は見えない。ずっと本を作り続けてきて、今年は確実になにか目に見えない地殻変動が起きている。新聞広告への反応の遅さ、首都圏からの注文の変化、地元書店の予測できない売れ筋……。そうした現象や予兆が積み重なって、出版や本の世界に起きつつある「変化」を感じる。それにしては本家本元の東京は、いつもと変わらないそぶりだ。これはちょっとうそくさい。いや東京から遠く離れた辺境だからこそ、感じられる「風」なのかもしれない。 9月28日 夏からの体調不良がまだ尾を引きづっている。身体がしゃきっとしない。気持が前を向かない。毎日ダラダラとソファーに寝っ転がってばかり。日中そんな怠惰な生活をしているせいか、夜よく眠れない。しばしば夜中に目を覚まして考え込む。といってもほとんど「休むに似たり」なのだが、来し方行く末を、うだうだと堂々巡りばかり。週末の山行もこの頃は苦行だ。行けば楽しいのだが、行くと決心するまでが時間がかかる。なんかちょっと更年期みたいな感じかなあ。困ったもんだ。 (あ)
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