Vol.634 13年1月12日 | 週刊あんばい一本勝負 No.627 |
波乱の幕開けは、ほんとうのようです | |
1月6日 長いお正月休みを無事(暴飲暴食なしで)、やり過ごすことができた。外は今年一番の大雪。昨日、若い友人のH君と駅前のスタバであるイベントの打ち合わせをした。両隣に若い女性の小グループがいて、ものすごい大音響でおしゃべり中。こちらも負けじと大声でヒートアップ、酸欠気味になってしまった。スタバは箱根駅伝か! 右隣は「カレシ」の話に夢中の女子高生風。左隣は東京から帰省中らしき女子大生風。互いの隣の席の声に、負けじとばかりみんな大声で怒鳴り合う。外から見るとこの光景は、ほとんど証券取引所ではないのだろうか。 1月7日 今日から仕事始めだが、健診の再検査のため、近所の大学病院へ。2013年は、なるほど波乱の幕開けである。ところで毎年、お正月はDVD映画をレンタルして1日2本平均は観ているのだが、今年はほとんど面白い作品に出合えず。文字通りヒマつぶしに終わっただけだが、これが本なら3冊に1冊は絶対にはずさない。その自信があるのは、それだけの経験や訓練ができているから。映画はめったに佳作にであわないのは、基礎知識や最新の情報量が不足しているせいだろう。なにごとも一朝一夕にことはならない。 1月8日 半日を大学病院で過ごす。健診の再検査のためだが、朝早くからいつもと違う別世界に放り込まれ、観るもの聞くもの非日常な新鮮な体験をさせてもらった。検査そのものは異常なくホッと一息。偏見を持っていた医師も、丁寧でちゃんとこちらの目を見て説明責任を果たしてくれ、うれしかった。「医師が患者を診るたびに、そのことで患者の気分がよくなるのが医療の極意」といった作家がいたが、そうだよね。飛び込みで入った大病院だったが、粗末にもされもせず、短時間で丁寧に診てもらえた。実は別の大病院で、いろんな条件を付けられ門前払いを食った苦い経験があったばかり。病院や医師に対する意固地な思いが、今回の検査で、少しはゆるくなった。 1月9日 昨夜の夕食はアサリの酒蒸し、合いガモ照り焼きに湯豆腐。肴系ばかりだが、大活躍したのはネギ・スライサー。去年いただいたものの中でもっとも役立ったすぐれもの。百均だそうだが、このおかげで料理が昔より数倍楽しく、かつレパートリーも広がった。さらに、包丁をよく研ぐこと、市販の「白だし」や「めんつゆ」を使いこなすこと、調味料はできるだけ少なく、などなど、すべてSシェフの薫陶によるもの。ものの10分あれば冷蔵庫の残り物で何品かの酒肴を作れるようになるのが理想だったが、少しずつその域に近づきつつ……いやいや料理に慢心は禁物、今はひとつでもレシピを増やすことに専念しよう。 1月10日 たぶんに儀礼的な言い回しなのだが、「今年は波乱の幕開け」うんぬんと年頭に書いた。でも現実はもっと重かった。新しい年の日々は、ズシンズシンと重い剛速球ばかり、こちらのミットの手はもう赤く腫れあがっている。身辺で不幸があいつぎ、友人知人たちの予定外の行動に振り回され、仕事の展望も一向にクリアーにならない。そしてこの豪雪だ。まさに波乱の幕開けである。が、馬齢を重ねるにしたがい、ジタバタしない程度の諦観や虚無の根っこは生えているのも確か。不安や焦燥感はあっても、それをカバーする、ふてぶてしさといい加減さも身についている。それでもなあ、今年はなんだかやっぱり、波乱の1年になりそうな予感があるゾ。 1月11日 ふだん呑んでいるお酒は横手市にある「天の戸」(浅舞酒造)のものが多い。杜氏の森谷君の本を出した関係ばかりではない。小売店の秋元さんに酒のチョイスはすべてお任せなので、自然とそんなふうになったのだ。今はカミさんも天の戸が一番のお気に入り。去年の暮は親しい県外の友人たちに「天の戸純米大吟醸35」を贈って、えらく喜ばれた。その天の戸の柿崎社長が亡くなった。まだ55歳の若さ。毎年新酒の時期に作家のSさんと2人酒蔵に招いていただき、できたてのお酒をいただくのが恒例行事だ。おまけに今年は、柿崎君の奥さんのお兄さんの「麹の本」も出す予定。その出版をとり持ってくれたのも柿崎君だったが、本を見ずに旅立ってしまった。自分より年下の人の旅立ちを見るのは、辛い。合掌。 (あ)
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