Vol.688 14年1月25日 | 週刊あんばい一本勝負 No.681 |
鬼が攪乱、ねたきり週間 | |
1月18日 週末は横手・湯沢に出かけ、豪雪の実際を取材して原稿(レポート)に書く予定だったが諸々の事情で断念。おとなしくデスクワーク。雪のことを考えるとユーウツになるばかりだが逃げるわけにいかない。昨日は学生バイトが来てワイワイ楽しかったが、今日の夜は彼らの新年会コンパだ。リトアニア留学の教養大Y君の帰国報告会も兼ねたもの。明日の日曜は県北の七座山に登る予定だが雪が深いだろうなあ。偶然だがタイミングがいい。HPのトップ写真は、その七座山中腹から撮った冬の米代川です。 1月19日 日曜日の「お仕事」は山登り。もう定着した週刊行事だが、今日は二ツ井町にある七座山。朝3時半ころに寒くて目が覚めた。そこから眠られなくなった。いつもの遠足前の興奮という華やかな睡眠不足の気分ではない。身体がだるく動かすのがおっくうなのだ。これはちょっと異常。昨夜は学生たちと新年会コンパ。それもほどほどで切り上げ寝床に入った。夜中に背中がスースーするので何度か目覚め。昨日届いた健康診断結果も「要再診」がなくA表記が増えた。それに気をよくしていたばかりだ。山をキャンセル、ほぼ24時間寝床でおとなしく過ごした。どうやら過労かストレスではないのか、というのがカミさんの見立てだが。 1月20日 24時間、寝床の中で過ごすというのも近ごろ珍しい。いい休養になった。おかげでどうにか起きられるようにはなったが、月曜は週で一番忙しい日。まだちょっとだるい身体で2日分の溜まった雪かき、ゴミだしもした。雪もゴミもこちらの体調などお構いなしだ。今日会う予定の方々に事情を話してキャンセルの連絡を入れ、午後からはまた寝床で過ごそうかと考えている。それにしても熱は出ないし、呼吸が乱れるほど体調が悪いわけでもない。なんとなくだるくて身体がうっとうしい。新手のウイルスなんだろうか。お正月から不連続に続いているから個人的には過労だろうと思っているのだが、他の要因もあるのかもしれない。ここ4ヶ月間、大げさでなく日曜以外はほとんど仕事していたからなあ。 1月21日 不調の原因は風邪ウイルスか。お正月に罹ったのとは全く別もので、ストレスや過労とも関係ないのかも。学生との新年会の後、風呂に入ってそのまま寝床に入ったのが原因、とカミさんに断言された。一晩中背中や腰のあたりがスースーして眠られなかったから、それが原因としか考えられない。今日は一日おとなしく家で寝ているので事務所は閉店。留守電なのでよろしく。鬼の霍乱といいたいところだが、原因がわかると不注意のそしりは免れない。風呂で暖まったまま寝床に入ると身体が冷えてしまう。年を取るとこうしたことに注意を払わないのは問題外、自己責任だ。 1月22日 ずっと寝床。情けないが、転んでもただで起きない、予定だ。寝ながら12時間かけ、ものすごい小説を読んだ。笹本稜平『その峰の彼方』(文藝春秋)。500頁もある山岳小説で、その9割の記述がマッキンリー山中での遭難シーンに費やされている。読みながらこれはこの著者の実体験ではないのか、と疑ってしまうほどのリアリティ。寝床で涙が止まらなくなった。本を読んでこんなに泣いたのは久しぶり、物語の力を感じた。この作者の前作『春を背負って』が今年映画化されるらしいが、この本も読んでみよう。すごい作家がいるものだ(51年生まれだから若手ではない)。活字の力で思いっきり涙腺をしぼりとられた。 1月23日 体調はようやくもとに戻りつつあるが、今度は右ひざが痛い。それでも朝は雪寄せが待っている。風邪の原因も入浴後すぐに寝床に入ったせいだと思っていたが、友人から学生とのコンパのときすでに鼻声で兆候があったからその段階で感染、結果「体力・免疫力の低下」があったのでは、と指摘された。そうだったのか。それでもどうにか出舎して仕事ができる。注文はこのところ一段落だが、編集業のほうがバタバタと立て込み始めた。本を売るのは好きだが、本を作るのはあまり好きではない。って本音を言ったら怒られるかな。それにしても毎日が雪雪雪。選挙では「一票の格差」が大問題になるのに、日本国土にある「雪の格差」は問題にならないのは、なぜなのか。人は生まれる場所を選べないからなあ。 1月24日 右ひざが痛い。階段の上り下りが辛い。でも散歩は大丈夫。なんかへんだが階段だけがだめ。寝ている間にひねったのかなあ。よくわからない。理由がよくわからないのはたいてい睡眠中に起きたことにしておくのが一番だ。それとこれは薬の影響なのか、風邪ひき中でも夜はちゃんと熟睡できた。風邪がなおったとたん夜眠られなくなった。どうして? ゾルピデムという睡眠導入剤は昏睡状態(植物人間)の患者を短時間だけだが覚醒させる効果がある奇跡の薬だ。このことを「キモ」に使った小説があった。映画「レナードの朝」でも似た薬が主役で話題になったが、あれも事実に基づいたものらしい。この薬を使えば過去の名作や名画の筋はめちゃくちゃになってしまうなあ。フィクションの世界ではいわば禁じ手の薬品になってしまうのかも。 (あ)
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