Vol.839 17年1月7日 週刊あんばい一本勝負 No.831


あけましておめでとうございます

1月1日 あけましておめでとうございます。旧年中はお付き合いいただき、ありがとうございました。今年もまた変わらぬご愛顧のほど、よろしくお願い申し上げます。年々、老いて偏屈になり、頑迷で進歩のない、救いようのない年寄の独語ブログですが、命の続く限り続ける覚悟です。お見捨てなく見守っていただければ幸いです。今年も年賀を欠礼しました。

1月2日 TVで「覆面リサーチ ボス潜入」という番組をやっていた。タイトル通り企業経営者が変装して自社に「見習い」として潜入、自分の企業の問題点をあぶりだすというドキュメンタリーだ。ひさしぶりにおもしろいTVだった。お正月は過去に放映された秀逸な番組の再放送がある。これもNHKの「新アレルギー治療――鍵を握る免疫細胞」という番組にも興奮。花粉などのアレルギーを治療する決定打として「Tレグ」という免疫細胞のメカニズムをわかりやすく解説。アレルギーに苦しむ人たちが消える日も近い。

1月3日 朝5時起床。始発の新幹線で東京へ。渋滞や行列とは無縁の生き方をしてきたが、やむを得ない事情で「帰省ラッシュ」の一員に。今日は東京で泊まり明日の朝バンコクへ。どうにか体調万全で旅に出ることができそうだ。新幹線でもマスクをしてひたすら縮こまっていた。早起きや旅装の準備などは山歩きの経験が生きている。

1月4日 恐ろしく長い一日だった。羽田発11時の便で今回はプレミアム・エコノミーと言う初めてのチケット。JALのラウンジが使えたので、ここで有名なカレーライスの昼食。機内もエコノミーとは微妙に違うのだが、ビジネスほど充実感はない。あたりまえか。フライトは順調だったが空港内の入国審査が混んでいた。おかげで関空組とうまく合流できず、彼らのホテルや連絡先も実はわからない。一人寂しくホテルの部屋でこれを書いている。それにしてもバンコクのタクシーの運転手は地理を知らない。タクシーに乗りさえすればどこにでも行けると思っていたのが大きな間違いだった。さんざんな目にあった。

1月5日 バンコク2日目。関西の仲間たちと合流できた。それにしてもバンコクの交通事情はひどい。昼はタイの家庭料理の店へ。特別辛くもなく上品なお料理。午後からは自分のホテルに戻らず仲間たちの泊まる「THESIAM」から水上タクシーでリバーシティに上陸、これまた友人が宿泊するペニンシュラに招かれて最上階にあるスイートルームでフローズンダイキリ。世の中には桁違いのお金持ちがいる。ディナーはスペインのエルブジで修業したというインド人シェフの創作料理。雑誌などで見たエルブジのまったく同じ科学実験のような料理の数々。朝ホテルを出て、一度も戻ることなく、ようやく帰って寝たのは夜中の1時を回っていた。

1月6日 もう完全に自分のペースに戻った。夜も熟睡、便通もいい。シャワーも浴びたし、セブンイレブンでドーナツとカフェラテの朝食。昼はシャコ料理で有名な中華食堂。美味しかった。いったん宿に帰り1時間ほど仮眠。それから仲間のいるホテルまで移動。通常タクシーで30分の距離だが週末のため渋滞で1時間以上かかる。それでもタクシー代は150バーツ(400円)というのだから驚く。ディナーはリバーサイドにあるタイ料理屋。辛い物は苦手だが、何度か食べているとなれてくる。うまいものを食べてタクシーや船に乗ってばかりだから体重は確実に増えている。もうこのことは考えないようにしよう。仲間の一人に自分と読書傾向のよく似た人がいる。この人と本の話をして少しく刺激と興奮。ホテル宴会はパス。宿に帰って明日の準備と日記書き。
(あ)

No.831

失われた感覚を求めて
(朝日新聞出版)
三島邦弘

 町から書店が消え、コンビニで本や雑誌を買うのが常識になりつつある。とばかり思っていた。ところがコンビニでの出版物の売り上げは年々落ち続け、この10年で半減している、と「出版ニュース」最新号で読んだ。雑誌や書籍の凋落は歯止めが効かない。そんな折、本書の著者が新聞のインタビューに答えていた。自分(私)の考え方に近く、共感する部分が多くあったので、読まずに積んでいた本書を引っ張り出した。書名も装丁もいまいちで放っておいたのだ。読み始めて、期待していたような「新しい出版論」でないことがわかった。若者の「出版起業ものがたり」で、「出版とは何か」を真正面から論ずるようなものではなかった。少しがっかりしたが、若者の本に対する愛情と情熱は伝わってきた。しかし、なぜ京都と東京の2か所にわざわざ出版拠点が必要なのか。賛助会員を集めてお金を集める行為と出版理念は矛盾しないのか、よくわからない点は多々あった。これからの時代はこうした出版起業のありかたがスタンダードになっていくのだろうか。いずれにしても市民運動論的な発想から出発した事業は継続が課題になる。要するに仲間割れでとん挫するケースがほとんどだ。そのあたりは大丈夫なのだろうか。老婆心ながら気にかかる。新聞記事のときの歯切れの良さ、コンパクトなわかりやすい要旨は、本書の中には見当たらなかったのが残念だ。

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