Vol.93 02年6月8日号 週刊あんばい一本勝負 No.90


ジュンサイ鍋の昼御飯

 デザイナーの金子由紀夫さんから生ジュンサイをどっさりいただいた。金子さんの家はジュンサイ栽培農家なのだ。瓶詰めは食べたことはあるが生というのは珍しい。さっそく昼飯時に事務所の2階で柴田が調理、鍋を作ってみんなで平らげてしまった。鍋は鶏ガラで出汁をとり醤油で薄味をつけただけのものだが、何というか「旬のすごみ」があり美味しかった。ジュンサイ鍋とクジラ貝焼きは秋田を代表する(冬以外の)鍋料理、と自慢する鐙編集長も満足げで一鍋があっという間になくなった。無類のしょっぱいもの好きの渡部七郎だけは上品な薄味に不満だったようで、お椀に醤油をドブドブとふりそそいで食べていた。寿司屋でも醤油の海の中にお寿司をドブンと落として食べる脳卒中オヤジなので、ま、しょうがない。さあ次はクジラ貝焼きですね。誰かクジラ(皮のところを使います)を持ってきてくれませんかね。ちなみに最近いろんなところでクジラが売られているのは、ある情報通によれば「ロシアの密漁もの」だそうです。
(あ)

便利屋は便利か?

 事務所はもう築20年以上経つので、いろんなところの老朽化が激しい。電気屋さんや大工さん、内装やさんなどに発注できるグロスの仕事だと問題ないが、わざわざ専門家にきていただくほどでもない細かな作業がいたるところにでてきたので、電話帳で「便利屋さん」をさがし、あてずっぽうっで来てもらうことにした。家の玄関上に作られた鳥の巣が、藁くずや糞をまき散らすため撤去すること、物置小屋に小さな棚を取り付け、換気扇を付け替えること、事務所の玄関のスリッパ入れを新しく作ったり、床の痛んだ部分の修復や蛍光灯のスイッチの付け替え……といった作業なのだが、幸いなことに、なかなかいい人に巡り会い、この1週間ぶっつづけで作業に来てもらいすべて終へてくれた。実は近所の便利屋に一度、「そんなことは出来ない」と断られて「何が便利屋だ」とこの手の職業に対する信頼が薄らいだのだが、今回の人はなかなかのプロフェッショナルで大助かり。長いつきあいになりそうです。
(あ)

リオで買った2枚の絵

 10数年ぶりで訪れたリオデジャネイロの国立美術館で2枚のブラジル人画家の絵を買ってきた。事務所に飾るためである。外国に行くとお土産を買うのが苦手なのでほとんど絵はがきや画集、絵(リトグラフが多い)を買ってくるのが習慣になってしまった。嵩張らないし、旅の印象を長持ちさせるにはもってこいのお土産だと思う。リオの美術館でもピカソやマチスの絵が飾られていて、それなりに見応えはあるのだが、やはり貧乏な国なので高い有名な絵は買えない、という苦渋がはっきりと展示品にでてしまっていたが、お土産コーナーにブラジルの有望な若手の画家たちの小品が売られていた。そこで買ったものだ。値段はどちらも3万5千円ほど。日本で同じレベルのものだと8万から15万ぐらいとられるだろう。約3分の1の値段である。いい買い物をしたと思っているが、絵だけは実際に額装して場所に飾ってみなければ成功か失敗かわからないところがある。今回はまだ結論はだせないが1勝1敗といったところか。
(あ)

今週の花随想

 今週の花は赤い芍薬、ピンクのカーネーション、かすみ草、ソリダゴ。ことわざに「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」というのがあります。芍薬と牡丹は良く見れば違いがわかりますが、パッと見は似ていて迷ってしまいます。私の判別方法は「茎が長い方が芍薬(“立てば”だからスラッと背が高い)、茎の短い方が牡丹(“座れば”なので花の大きさのわりに茎が短い)」というものです。この方法でも、ほぼ当たります。似ているから同じ種類なのかと思っていたら、芍薬は木で牡丹は草という、決定的な違いがあるそうです。
(富)

No.90

サヨナラ、学校化社会(太郎次郎社)
上野千鶴子

 いきなりバカな東大生と京都の四流大学アホ学生の話から始まる。全編ハイテンションで 「優等生」「偏差値」「少女」「学校トラウマ」といった項目を切り刻んでいく。明快で歯 切れのいい言説にページをくくるスピードは速くなるばかり。本の読ませ方が心憎いほど わかっているのである。さらに巻末には「上野千鶴子の舞台裏」や「ポストモダンの生き 方探し」といった「サービス」付である。イラ姫のイラストも上野の文章のスピードとよ くあっている。東大の先生の教育論という立場ではなく(そんなんだったら誰も読まない) 自分自身が学校教育の受益者であり被害者の一人としての発言しているから、これほどの 説得力とスピードを獲得できたのだろう。中高生の親たちに読んでほしいが、ま、そんな 連中は絶対読まなだろうし、学校の先生はというと、これもほとんど本は読まないから、 状況は絶望的である。自分の本におもいきりディフォルメした漫画までつかい、高校生か ら読めるように平易な文章で著者はサービスしているが、教育や出版を取り巻く環境はか なり厳しい。

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