Vol.94 02年6月15日号 週刊あんばい一本勝負 No.91


移動ババヘラアイス

 今や秋田名物となった道端でアイスクリームを売るババヘラアイスですが、昨年あたりから新しいタイプが現れました。なんと台車に道具一式を載せて町内の小路を売り歩く、移動ババヘラです。噂には聞いていましたが実際に目にするのは初め
てです。さっそく興味津々、話しを聞きながらアイスを買いに行ってきました。
 おばちゃんは男鹿市の隣、若美町から来たそうです。若美町には現在6社、隣の天王町に1社同業者がいるそうで、このアイスは昔からの男鹿名物とのこと。細々とではあったが戦前から営業していた、と胸を張っています。最近言われている戦
後に沖縄で米軍がはやらせ、日本各地に形を替えながら伝わったという説を覆す新説です。ババヘラの由来に強く興味を持っている我舎のあんばい社長は、その話しを聞き愕然としています。今年からはクール宅急便を使って日本各地にババヘラを発送するサービスも始めたようで、おばちゃんの話しでは東京からの注文が多いそうです。このように時代のニーズに合わせた商売のセンス。しっかりと21世紀も生き続けるでしょう。
(鐙)

これが移動ババヘラアイス

セントラルパークのソフトボール

 もうずいぶん昔の事のような気がする先月の海外旅行だが、時間がたって今なお心から離れない光景が一つある。ニューヨークのセントラルパークで見たソフトボールの試合である。セントラルパークには野球場ほどの広さのグラウンドがあり、これは四隅がホームベースになっているソフトボール用グラウンドで、一つの球場で4組の試合ができるように作られている。あるウィークデー、ここで放送局CBSチームと、名前が明記されていないユニフォームを着たチームの試合が行われていた。

セントラルパークで
 両チームとも真剣で動作もきびきびしてリズムがあり、みていて実に気持ちのいい試合だった。アメリカとソフトボールという取り合わせも意外だったが、ゲームを楽しんでいる人たちの全力疾走、必ずどこかに「CBS」とロゴの入っている各自勝手なユニフォーム、コーチや審判の遊びとは思えない真剣さ、力強くリズミカルな試合運びに1時間半近くも見入ってしまった。ソフトボールという、日本ではどちらかというと女子供のスポーツとみなされている競技が、けっこうハードでエキサイテングなスポーツであることに驚いてしまった。ソフトボールなら秋田でもすぐはじめられそうなので、やってみようかな、と考えている今日この頃です。
(あ)

お昼はソーメンで

 陶芸家の倉田鉄也さんの奥さんから快気祝いとして小豆島のソーメン「島の光」を一箱いただいた。お昼はもっぱらこのソーメン三昧である。コシがあって繊細な味の麺だが、それだけでは物足らない。そこで前日の酒肴のあまり物を小鉢に盛り具にして食べている。これがけっこういける。毎日違った具材で食べているから飽きもこない。このソーメンのためにお茶漬け用の漬物や佃煮もフル回転である。

これがソーメン定食
 たっぷりの氷水のなかにソーメンを浮かべ、小鉢の肴をつまみながら、一人で食事をしていると身の回りに涼やかな風が吹く。外のお店で他人を気にしながら食事をする気苦労から解放されて、すっかりリラックスタイムのソーメン定食でした。
(あ)

今週の花

 今週の花はブルーレースフラワー、デンファレ、さくら色のスプレーバラ、ブラック・バカラという名のバラです。ブラック・バカラには「世界で一番黒いバラ」というキャッチコピーがついているそうですが、黒にはみえません。濃い赤といった程度です。が、「黒い花」というのは、濃い赤や濃い紫が光の加減で黒く見えるものなのだそうです。ちょっとガッカリ。ですが、カラフルな花の中では、黒い花は目立たなくなって不利になるんでしょうね。
(富)

No.91

「おじさん」的思考(晶文社)
内田樹

 久しぶりの快著。読み出したらとまらない。何となく「これは面白そう」という予感があったのだが、読み出したらひたすらアンダーラインの洪水になってしまった。著者は私と一つ違いの昭和25年生まれ。東大闘争を経験した人のようだが、バツイチで娘さんと2人暮らし。「結婚して離婚して、娘と2人で暮らす」というのは男の理想的な人生といった人がいるそうで、著者はまさに理想の人生を送っているわけだ。大学の先生なので教育や若者へのキビしい論評も多い。2008年ごろには「大学入学志望者数」と「大学定員」が同じになるらしい。今の「高校生」という言葉からは「頭が悪くて、騒がしくて、礼儀知らずで、大食いで、利己主義で、マクドナルドで煙草を吸ったり、ローソンで漫画を立ち読みしている人」しか連想しない、というのは同感である。現在の平均的な大学生の学力の水準は30年前の中学3年生のレベルまで落ちているという恐るべき事実もショック。ようするに21世紀の大学は高校と同じレベルの教育機関になる。若者の問題だけでなく、この人の社会に対する距離の取り方は共感できる。晶文社では2作目の執筆をすでに依頼したそうだ。この人はブレークするかも。

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