No18
どんな山でも、なにか新しいことを学べるもんだ
[太平山・前岳(秋田市・723m)―2013年2月3日(日)]
 年が明けてから週末は切れ目なくどこかの山に登っている。週1回、必ず山で汗をかくことが慣例化したのは悪いことではない。現役で仕事をしている身なので、月末だ、支払いだ、打ち合わせだ、となにかとストレスがある。週末の山行が「ガス抜き」になっている。ありがたいリラックスタイムだ。
 今日は近所にある太平山・前岳。参加者は自分を含めて3名。何かの組織やサークルに所属しているわけでなく、なんとなく集まった無国籍メンバーで、集合場所は太平山リゾート公園内になるザ・ブーン駐車場。前岳は冬季間もつぼ足で登れる珍しい山だ。県都の山なので登山者が多く、冬季でも登山道は踏み固められている。谷側の夏道は通れなくなるため、直登ルートがメインなのだが30分近くかかる急登が2本あり、高度の割にはハードだ。身体の訛るこの時期のトレーニングルートとして多くの登山者たちを集める山だ。
 ゆっくりマイペースで登った。今日はずっと最後尾をキープ。2時間10分かかって山頂へ。かなりの汗をかき、水分補給も大変だった。ザックから吸い口が伸びているタイプの水筒だったが、その管が凍って役に立たなかった。山中は穏やかな天候だったが、冬山の寒さは下界とレヴェルが違う。管給水は危険だ、冬の間はやめよう。同じくデジカメも「バッテリー容量がありません」の表示、シャッターが押せなくなった。カメラやケータイは、カイロを張り付けた袋に入れてくるのが常識だという。知らなかった。

先行する2人の後をゆっくり

これがひとり宴会のメニュー
 山頂での食事は雪のテーブルを作り、袋入りインスタント・ラーメンを煮て食べた。実はこれは初めての体験だ。いつもはカップめんだったからだ。というのも持っているガスコンロは最も小さいタイプで冬には極端に着火が悪く煮炊きはダメ。他の人からお湯をもらっていた。いつまでもそれでは申し訳ない。数日前、思い切って登山専門店で火力の強い冬用コンロが使える、もうひとつ大きなタイプのバーナーを買った。その初使用日だったのである。ものすごい火力で簡単にアツアツのラーメンを食べられ、感動する。
 下山は1時間。最後尾なので、誰とも話をせず、いろんなことを沈思黙考。といっても、もっぱら考えていたのは下山後の夕食のこと。
 ダイエットのために急速に落ちている体重のため、体力に何らかの影響があるのかも、と登る前は不安だったが、どうやら杞憂だった。
                      *
 温泉は駐車場のある「クアハウス ザ・ブーン」。すぐそばにあるスキー場の親子連れ客が多い。誰も入ってこない露天風呂にずっと浸かってリラックス。体重は朝計ってきたとまったく同じ。食べたのと登ったのが相殺というわけか。そう単純なものでもないだろうが。
 家に帰ったらまだ3時前。事務所で「ひとり宴会」をやるため、料理の下ごしらえ。湯豆腐、鳥ももの粕焼き、甘い卵焼きを作り、かまぼこに焼きノリ、たこぶつなどの市販の酒の肴もちょこちょこ。それらを器に入れ変え温めたり冷やしたりするだけで、食べるころには疲れてしまった。いやはや料理も大変だ。


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●No.1 草紅葉の海で、なぜかパエリア
●No.2 贅沢お昼と、お気に入り温泉
●No.3 白神のブナの森を彷徨う
●No.4 南八幡平の自然休養林を歩く
●No.5 巨木の森で、雨に追われて
●No.6 何が悲しくて、遠い県境の雨の山へ(+クマの話)
●No.7 「キジ撃ち」慣れ、増える体重、初めての山
●No.8 雹に雷とスパイク長くつ、是山の山
●No.9 賞味期限切れ食品がうまい、きれいな三角山
●No.10 生きものたちと出あい、ラーメンうまい雪の山
●No.11 はじめての朝市、風格の天然杉、泥土のババ落とし
●No.12 雪と風とツェルトとストック
●No.13 「靴納め」はダブル山行、かててくわえて忘年会
●No.14 これが今年最後の山行です、信じてください!
●No.15 桜のつぼみが大きいから、春は早い……
●No.16 彷徨っても漂っても、頂上は遠い
●No.17 動物の足跡がないのは、「なまはげ」がいるからだ

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