No.51
33体プラス番外9体、石仏訪ね完全踏破
[房住山(409m)・北秋田市二ツ井町――2013年12月1日]
この古来信仰の、個性豊かな山には何度登ったことだろう。春夏秋冬、まさに四季折々にこまめに登っている。リーダーのSシェフが個人的に大好きな山、という事情もありそうだ。とはいうものの、この山の目玉であり、コース途中に鎮座している33観音像の石仏を全部見た人はモモヒキーズの中にも少ない。石仏の半分は登り斜面に鎮座していて問題ないが、残り半分は山の裏側にある。そのため登り口と下山口にそれぞれ車を用意しなければ、33観音とのご対面はかなわないのだ。
今回はこの33観音像をすべて見るのが目的である。山全体を縦走するということだ。登山口と下山口が別々になるのでメンバーを2班に分け、最初に下山口の小新沢林道登山口に行き、車2台を置いてくる。もう2台の車に全員が乗り移り、そこから観音橋登山口に向かう。こうしてようやく登山開始だ。
いつもの観音橋登山口を登りはじめる前にも、ひとつしなければならないことがある。山を登り始めるといきなり出現する石仏が第2番。1番がないのだ。実は第一番観音像はこの山の県道を挟んだ向かい側の小さな山の途中にある。まずはこの山の向かい側の第一番を訪れてから、登り始めなければならない。
房住山は標高の割に傾斜がきつい。雪があったこともあるが山頂まではゆうに三時間の時間がかかってしまった。今回の山行には若い女性二名の参加もあり、彼女たちに配慮してペースはゆっくりめ。さらに途中の天下森には分岐の小高い山があり、この分かれ道のドン詰まりに第7番石仏がある。どうしてこんな面倒なことをしたのだろうか、よくわからない。

これが最後の33番目

最近女性の参加が多い
山頂には展望台も兼ねたりっぱな小屋がある。ここで昼食をとり、これからが本番だ。登りには石仏観音像は21体しかない。22番から33番までは小新沢林道に降りる下山ルートのなかにある。ほとんどの人がこちら側に下山するルートは初めてなのだ。昔、宿場があったという寺屋敷跡にどうにかたどり着いた。ここが33番石仏のあるところ。ここまではSシェフも下見できているのだが、なにせ一人だったので、ここからは頂上小屋まで戻り、観音橋登山口まで下りてきたそうだ。車が1台しかないと、こうするよりほか方法はない。
だから寺屋敷からの下山ルートは全員にとって初めてのコース。いささか不安な気持ちを持ちながら、下りはじめたが案の定、迷ってしまった。あっちでもない、こっちかもしれないと迷うこと30分、ようやくルートを見つけ出し後は快調に下山。結局は往復歩行6時間のかなりの強硬な山歩きになった。
                        *
温泉は五城目の小倉温泉。正直なところあまり好きな温泉ではない。泉質はいいのだが、なにせ脱衣場が狭い。風呂場にシャンプーも石鹸もない。露天風呂もない。建物の大きさに比して温泉が小さく圧迫感がある。明るくて清潔な温泉なのだが、何とも残念だ。

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●No. 1 草紅葉の海で、なぜかパエリア
●No. 2 贅沢お昼と、お気に入り温泉
●No. 3 白神のブナの森を彷徨う
●No. 4 南八幡平の自然休養林を歩く
●No .5 巨木の森で、雨に追われて
●No. 6 何が悲しくて、遠い県境の雨の山へ(+クマの話)
●No. 7 「キジ撃ち」慣れ、増える体重、初めての山
●No. 8 雹に雷とスパイク長くつ、是山の山
●No .9 賞味期限切れ食品がうまい、きれいな三角山
●No.10 生きものたちと出あい、ラーメンうまい雪の山
●No.11 はじめての朝市、風格の天然杉、泥土のババ落とし
●No.12 雪と風とツェルトとストック
●No.13 「靴納め」はダブル山行、かててくわえて忘年会
●No.14 これが今年最後の山行です、信じてください!
●No.15 桜のつぼみが大きいから、春は早い……
●No.16 彷徨っても漂っても、頂上は遠い
●No.17 動物の足跡がないのは、「なまはげ」がいるからだ
●No.18 どんな山でも、なにか新しいことを学べるもんだ
●No.19 「山があるんで、お先に」って言ってしまった夜
●No.20 大滝を見にスノーハイク、帰りは古民家見学
●No.21 冬は近場にこそ遊び場がある+ついにシュールストロミング開缶!
●No.22 山頂で野点、そうか今日は「桃の節句」か
●No.23 青空、中岳、ひとりぽっち
●No.24 石仏に村人はどんな思いを託したのだろうか
●No.25 冬限定、地図に名前のない山に登る
●No.26 登山道のないやぶ山で、昆虫になる
●No.27 ダブル登山で、県北の春山に酔う
●No.28 GWは雪の回廊を抜け、強風の山頂に立つのが夢
●No.29 街から7キロ先に、千メートル級の山があるの?
●No.30 下水掃除と宮沢賢治とアイゼン登山
●No.31 青空・無風・トラブルなし。雑魚10匹より大物1匹
●No.32 みんな嫌がるけど、オレは好きだヨ、東山
●No.33 週末連続登山で、体力は大丈夫か、ジブン
●No.34 地元のプロと一緒だと、山歩きは百倍楽しい
●No.35 ブナと滝のシャワーを浴びて、少し元気になってきたゾ
●No.36 あれッ、なんだか人並みに体力がついてきたかな
●No.37 雷に追われ、山小屋泊まり、ガスっても岩手山は美しい
●No.38 県内最強のタフな山で、野立の誕生会
●No.39 中央アルプスで観光登山、それもまた楽し
●No.40 面白みはなくても、一度は登ってみたい虎毛山
●No.41 世界遺産の山で、会うのはへんなオジサンばかり
●No.42 ずっと踏破してみたかった、歴史の古道
●No.43 早池峰の、代替がきつかった、岩の山
●No.44 知っていそうで、知らなかった駒ヶ岳
●No.45 ストックを、持ち逃げされた秋の山伏
●No.46 侮ってしまった! やっぱり太平山系はきつい
●No.47 この山には、もう来られないかもしれない
●No.48 山よりも、ランチと温泉が楽しいこの季節
●No.49 晩秋の雪山は、みごとな小春日和
●No.50 今年もまた、やってきたリンゴ狩りの山

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